令和4年は給与の半分以上が税と社会保障に消える? 財務省「潜在的な国民負担率は56.9%へ」古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/3 ページ)

» 2022年05月27日 07時25分 公開
[古田拓也ITmedia]
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短期・長期の施策が必要

 社会保険料対策は、いくつか方法が考えられる。例えば、月の一般的な診療にかかる自己負担率に段階を設け、深刻でない事情については医療費がある程度かかるような設計とすることで、公の負担する医療費を削減することもできるだろう。また年金の受給タイミングなどを調整するといった対策もあり得る。しかし、それはあくまで短期的な視点の施策だ。

 上昇基調となる国民負担率を軽減するためには、やはり長期的な施策が必要となる。例えば、少子化対策もその一つの施策だ。

 今年は「団塊の世代」と呼ばれる、他世代と比較して出生数が突出して高かった1947年生まれの人々が75歳を迎える。

 24日に厚生労働省から発表された人口動態統計によれば、21年度の出生数は、過去最低を記録した20年度よりもさらに1.3%減少して84万2131人となった。足元では、14年連続で出生数が減少しており、22年度を見ても、かねては期待されていたはずの「コロナ禍中における産み控えによる反動増」が来る気配もない。

 25日には、岸田首相の「骨太の方針」原案で、少子化対策として23年に「こども家庭庁」なる組織を設立し、子育て関連の公的支出を将来的に倍増する方針を示した。

 これまで積極的に少子化に対する予算が組まれてこなかったが、「骨太の方針」によってようやく動きが生まれてくるのだろうか。岸田政権初となる「骨太の方針」は、例年6月頃に開催される経済財政諮問会議にて正式に策定される。国民負担の軽減や少子化対策といった項目にも要注目だ。

筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCFO

1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CFOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら


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