最近では従来の物理的なSIMカードに加えて、eSIMに対応するスマートフォンが増加。昨年秋にはドコモの大規模通信障害などもあり、いざというときのセカンドSIMとして考えたときに、基本料0円で契約できるプランのメリットは大きい。povo2.0へユーザーが流れるのも納得だが、こちらは安泰かというとそうともいい切れない。
KDDIが決算会見で示したマルチブランドARPUの推移。通信ARPUは下がっているが、一方でID数は伸びていて、付加価値ARPUも上がっている(出典:KDDI、22年3月期決算説明会、プレゼンテーション資料)
サービススタート直後の決算会見では、「3分の2〜4分の3のユーザーがトッピングしている」と話していた高橋社長だが、全体的な料金の引き下げによって、KDDIのマルチブランド通信ARPU(契約当たりの月間平均収入)は落ち込んでいる。
povo2.0も今後例えばコンテンツの充実など、トッピングを増やすための施策が強化されるだろう。また0円は不当に安い価格で競争を阻害する「価格圧搾」にあたるのではないか、との議論もある。楽天モバイルが0円をやめた今、その矛先が集中的に向けられる可能性もないとはいえない。
楽天モバイルは0円を止めるかわりに、楽天ポイントが最大6倍になるキャンペーンなどを展開。またグループのさまざまなサービスとも連携し、楽天経済圏への取り込みを強化する。楽天ポイントの貯まりやすさなどに魅力を感じるユーザーは、引き続き残るだろう。だが、すでにその傾向が見て取れるように、離れるユーザーも一定数は出るはずだ。
その乗り換えが本格化するのは、1Gバイトまで0円のプランが継続利用できなくなる9月以降。実りの秋に、他キャリアの刈り取りが本格化しそうだ。
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