「(6)個の侵害型」のハラスメント行為に関する事例もご紹介しましょう(福岡高裁2013年7月30日判決)。
社内で出会い、男女交際を始めたC子(当時23歳の女性)とD男(当時38歳の男性、離婚歴あり)でしたが、D男の女癖が悪いと感じていたE課長(C子とD男とは別部署)は、D男に対し、「入社して右も左も分からない若い子を捕まえて、だまして。お前は一度失敗しているから悪く言われるんだ」などと言いました。
また、C子に対しても、「あいつ(D男)は危険人物だぞ。これまでもたくさんの女性を泣かせてきた」「もっと他に友達を作って何でも相談するようにしなさい。自分を飲みに誘ってくれてもいい」などと話すなど、二人の交際に介入しました。これに対し、D男は、E課長からパワハラを受けたなどとして提訴しました。
裁判所は、E課長の言動を不法行為(違法なパワハラ)と認め、慰謝料30万円の支払いを命じました。その際、C子とD男はいずれも成人であり、交際は当人らの自主的判断に委ねられるべきであるから、職場への悪影響が生じ、これを是正する必要がある場合を除き、E課長は交際に介入する言動を避けるべき職務上の義務があると指摘しています。
その上で、E課長の言動は、D男さんに対する誹謗中傷、名誉毀損、あるいは「私生活に対する不当な介入」であるとして、違法性を認めました。
このように、パワハラにはさまざまなタイプがあるので、6類型も意識しながら、多くの事例を整理しつつ、研修などで周知することが大切です。
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