――経産省と東京証券取引所が選んだ「2021年DX銘柄」に選ばれた理由は何でしょうか。
地道な取り組みが評価された結果ではないかと思います。「デジタルゼネコン」という考え方を打ち出したのが20年の秋でした。それまでもIT化を推進してきましたが、ニューノーマルな働き方に対応するためにも、DXが必要になってきたわけです。
そこで先に話したデジタルゼネコンの3つのコンセプトをベースに、いろいろなデジタル化技術を社内に展開してきました。
――DXを推進するため外部から人材を起用しましたね。
リーダーは情報統括担当の副社長で、生え抜きのデジタル戦略推進室長が中心になってDXを推進してきました。ただ、DXの大きな将来像を描いてもらうために、外部の力も利用しようと、富士通さんから部長クラスの人材をスカウトしてきました。
人材の多様化はDXの一つのキーワードです。建設業の器に捉われない成果を出したいので、これからはどんどん社外から人材を登用していきたいと思います。ただし、社外から来た人に頼るだけでなく、社内でしっかり議論して当社の方向性を出す必要があり、内部と外部の考え方を融合することが重要です。
いまは良い方向に向かっていると思います。
――ゼネコン業界は全体的に利益率が低いようですが、どこに原因があると思いますか。
建設業界の「請負」というビジネスモデルは本来、ローリスク、ローリターンなのですが、昨今では大きなリスクを背負うようになっています。私が知っている限り、仕事が潤沢にあり利益率が高かったのは、1990年ころのバブル景気の時と、4〜5年前のオリンピックに向けた好景気の2回だけです。いつの時代でも利益率の向上は重要な経営課題になっています。
単に利益率を期待できないからといって厳しい仕事から逃げてしまうと、仕事が全く取れなくなってしまいます。だからこそ、常日頃から生産性の向上に取り組み、利益を確保していくことが重要なのです。
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