――この数年は建設業の労働者数の減少が目立ちます。どんな対策を考えていますか。
建設業の労働者、現場で働く技能労働者を含めてトータルで減ってきています。4、5年前に日本建設業連合会(日建連)が試算したところ、その時点で約350万人いた技能労働者が、10年後には220万〜230万人に減るという予想結果が出ました。この数字には衝撃を受けました。
建設業に入ってくる若い人は非常に少ないので、若者が注目してくれるような魅力のある産業にしていかなければなりません。国土交通省も危機感を抱いていて、現場の処遇改善にむけて、日建連の諸活動を支援してくれています。
例えば、週休2日を前提にした工期設定もそうですし、設計労務単価と呼ばれる作業員さんの日給の額も10年連続で引き上げてくれています。また、作業員の処遇改善につながる建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入も推進しています。
――CCUSとはどんなものですか?
IDカードで作業員の現場での就業履歴を蓄積するだけでけでなく、IDに蓄積された技能と経験による能力評価をし、能力に応じた賃金設定にも生かせます。また、就業情報を建設業退職金共済制度とリンクさせれば退職金ポイントの積立にも役立ちます。
建設現場はこれまでは3K(きつい、汚い、危険)職場でした。これを変えようと、新4K(給与が高い、休暇がとれる、希望が持てる、かっこいい)を目指しています。ただし、入職者を増やすことだけでは技能労働者不足に対応できないため、ロボットなど技術開発を進めることによって、省人化も目指しているのです。
――初任給の5000円増額を決めましたが、その理由は何ですか。
建設業界に優秀な人材を確保するためです。併せて、賃上げも実施しています。従業員の処遇改善を通じて、未来を切り開く「成長と分配の好循環」の実現に寄与することが、社会的使命だと考えています。
――「子どもたちに誇れる仕事を。」をキャッチコピーにしています。この意味は何でしょうか。
例えば、「お父さんが造ったビルを見に行こう」と子どもにいえる仕事をしようということです。自分の仕事のプロセスやアウトプットの一つ一つに自信がなければ、子どもにはそうは言えません。
将来、子どもたちが大人になった時にでも、社会インフラとして十分に機能する立派な施設を造っているんだよ、との思いが伝わるようなコピーを目指しました。
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