なぜスシローは「おとり広告」をやらかしたのか 「また起きる」これだけの理由スピン経済の歩き方(3/7 ページ)

» 2022年06月14日 10時10分 公開
[窪田順生ITmedia]

不正の王道パターン

 今回のスシローやウニの産地偽装も、この不正の王道パターンにハマっている。「足りない」という事実をゴマかすことに頭の中が一杯になってしまって、それが結果として「不正」になってしまっているのだ。

 例えば今回、スシローの「おとり広告」だと指摘されたのは「ウニ」と「カニ」なのだが、フェアのCMを流していたまさにそのとき、2つとも世界的な供給不足で価格が高騰していた。日本だけではなく、世界中で「足りない」という悲鳴が上がっていたのだ。

回転寿司チェーン「スシロー」が「おとり広告」で炎上(出典:同社Webサイト)

 まず、ウニに関しては、大手外食チェーンが値段の安さからよく使うチリウニが足りなかった。漁期は3〜8月期なのだが、21年は天候不順などで不漁だったのだ。「水産大手によると、平年の供給量は製品ベースで2000トン前後だが、今年は1300〜1500トンの見通し」(日本経済新聞 21年12月20日)だった。

 「だったら国内のウニを使えばいいじゃない」とマリー・アントワネットのようなことを言い出す人がいるかもしれないが、実は昨年秋、北海道のウニは壊滅的な被害を受けていた。

 『"赤潮"か ウニ・サケ大量死問題…鈴木知事 来週にも東京へ「国へ原因究明を要望」 水産庁が現地調査も』(北海道ニュースUHB 21年10月7日)

昨年、ウニの供給量が激減していた

 これを受けて、寿司店などでは相次いで、ウニやカニの取り扱いを一時中止したり、価格を改訂するなどお詫び文を出したりしていた。そんなときにスシローでは、「ウニが大盛りで100円!」なんてCMを流していた。消費者庁と公正取引委員会が動くのも納得だろう。

 また、カニも「フェア」などできる状況ではなかった。実は日本の市場に安く出回っているカニの多くは輸入品だ。水産庁によれば20年のカニ輸入額は473億円で、そのうちの6割がロシアが占めている。カナダが18%で、米国が11%だ。

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