既にわれわれは「水産偽装」に耐性がついていて、もはやそれほど驚かなくなっている。アサリのときもそうだったが、1週間くらいはワーワーと大騒ぎをして、喉元過ぎればなんとやらで、今もスーパーで「安いアサリ」を買い求めていく。なぜ絶滅寸前の国産アサリがそんなに安く売られるのかはそれほど気にしない。
輸入品の魚ばかりが並んでいるのに、魚河岸イメージで訴求しているスーパーの鮮魚コーナーが分かりやすいが、とにかく「安い」を実現してくれることが大事なので、あとは「国産風」を装ってくれているだけで十分ということなのかもしれない。
こういう問題が起きると業者のモラルが低下しているという話になるが、実は「安さの奴隷」になってしまっている消費者のモラルもかなり低下しているのではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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