この「足りない」をゴマかすための不正は、いまのところアサリ、ウニ、カニなど一部の水産物だが、今後じわじわと他の魚や貝にも広がっていくはずだ。
先ほども申し上げたように、この不正を引き起こしている問題の本質は、日本をゆっくりとむしばんでいる「水産資源の不足」だからだ。
漁業・養殖業生産統計によれば、公海などの遠洋漁業も含めて、2020年に国内で水揚げされた水産物の総漁獲量(養殖除く)は、ピークだった1984年の3分の1まで減っている。イカは84%減、ウニは72%減、マアジ28%減、タコ24%減と国産はほとんど壊滅状態のものもある。スシローなど回転寿司チェーンで、われわれが安く食べているネタのほとんどは、日本の漁業でとれたようなものではないということだ。
それはつまり、これら水産品でも遅かれ早かれ不正が始まるということだ。具体的には、「入荷しました! 100円で大盛り」なんて広告に釣られて行っても、いつも「品切れ」だったり、「函館産のイカがこの値段!」などと売られているものが、実は中国産だったり、なんて問題が「デフォルト」になっていくということである。
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