攻める総務

旧本社から目と鼻の先に移動したJT 担当者が「単なる引越しじゃない」と話すワケオフィス探訪(JT前編)(4/4 ページ)

» 2022年06月15日 06時30分 公開
[太田祐一ITmedia]
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自治体との協創、どれだけオフィスに付加価値をもたせていけるか

 新オフィスでは協創の試みとして30階のソーシャライジングスペースで地方自治体と共同イベントを開催している。2月末には福井県とイベントを実施。2日間、現地の特産物を販売した。

 高嶋氏は「地方自治体と民間企業が協業し、双方にメリットがある取り組みができないかと考えていました。当社は福井県にも営業拠点あるので、現地と連携しながらイベントを開催しました。福井県は24年に新幹線が開通します。先方も東京でアピールしたいと考えていたようです」と話す。

 イベントでは、そば職人による打ち立てそばを提供。物販では地元の日本酒などが人気だった。サイネージで来場者アンケートを行い、商品の売れ行きや来店人数などのデータを提供した。

オフィス ソーシャライジングスペースで地方自治体と共同イベントを開催(筆者撮影)

 高嶋氏は「当社のビジネスにとっても自治体と関係性を構築できるチャンスとなり、双方にメリットのあるイベントになったと思います」と意義を話す。今後も自治体などと連携したイベントは実施する予定で、自治体の課題解決や目指す姿の実現支援も行うという。

 このイベントには、社員に向けたもう一つの狙いがあるという。「小さなきっかけからビジネスの種があることを気づいてもらいたい」と高嶋氏。

 「例えば、福井のパン屋さんが東京の販路を開きたいと思った時に、私たちのような民間企業と手を組むやり方があります。社員には、イベントを通してビジネスチャンスを見つけてほしい。関心の度合いでヒントになるものを得てもらう。社員が未来志向の気付きを得られる場になればと思っています」(高嶋氏)


 本連載で重要な視点の一つである今後のオフィスの在り方。最後に、高嶋氏はどのように考えているのか尋ねた。

 「会社が選択肢を用意して、最適なものを従業員が自ら考え選択する。企業側は社員が最大のパフォーマンスを発揮するために何が必要かを考えることが重要です。

 当社は製造業なので、比較的ロジカルに考えることを重視してきましたが、今後はオフィスを活用し、社内外の人と組織を超えた交流を行うことで、ひらめきや新しい気付きを得ることを期待しています。体験やフィーリングを通して、五感や右脳をバランスよく使うことも大事です。ただそれは一人の力では得られない体験ですので、会社がその環境を用意し、その環境を社員に大いに活用してもらいたいと考えます」

 次回はJT新オフィスの特徴やこだわりを紹介する。

著者プロフィール

太田祐一(おおた ゆういち/ライター、記者)

1988年生まれ。日本大学芸術学部放送学科で脚本を学んだ後、住宅業界の新聞社に入社。全国の工務店や木材・林業分野を担当し取材・記事執筆を行った。

その後、金属業界の新聞社に転職し、銅スクラップや廃プラリサイクルなどを担当。

2020年5月にフリーランスのライター・記者として独立。現在は、さまざまな媒体で取材・記事執筆を行っている。Twitter:@oota0329

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