【独占取材】ソフトバンクビジョンファンドはなぜLegalForceに出資したのか(5/5 ページ)

» 2022年06月23日 11時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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21年は日本マーケットが海外に認知された年

――国内のスタートアップにおける市況についてどう見ていますか。21年まではたいへん調達も行いやすく、国内スタートアップにおける資金調達金額も過去最高となったとみられます。国内VCだけでなく、海外VC(ベンチャーキャピタル)、海外PEファンドなどが国内スタートアップへの投資を拡大させてきました。22年の状況をどのように見ていますか。

松井 やはり資金供給量自体は確実に絞られています。ただ21年を振り返ってよかったと思う点は、海外のVCおよびグロースキャピタルのプレーヤーが、日本マーケットをインベスタブル(投資対象として適した)なマーケットとして注目し始めたことです。もしくは明確にインベスタブルなマーケットとして見ているという実績が非常に重要になります。

 21年は非常に大事な年でした。日本にはいい会社が出てきているぞ、これはわれわれも真剣に見るべきじゃないのか、という機運が多くのアジア系、米系、欧州系のファンドから盛り上がった1年だったと思います。

 起業家自身もシリアルアントレプレナーが出てきたり、それを支えるコア人材の観点でも、金融業界、コンサルティング業界を中心に、自分のセカンドステージをスタートアップにコミットしようという人が増えていますよね。私も前職は金融でしたが、その当時の知り合いがものすごく多い。スタートアップに転職した人が数多くいます。経営層の厚みが増しています。

 22年は(投資活動が)スローダウンするのは日本だけでなく全世界共通なので、いずれどこかのタイミングで回帰します。そのとき、よく分からない日本ではなく知っている日本なんです。

 そうした中で、お金自体は一部の誰が見ても間違いないよねという会社に集まりがち。それらをきちんと見極めながら、正しいバリュー、正しいリスクリワードのバランスの取れた会社に、ソフトバンクビジョンファンドとしては投資していきたいと思っています。

角田 去年の夏くらいからシリーズDの準備を始めましたが、SaaSやマザーズの市況は当時と比較すると2分の1から3分の1くらいになっています。その変化には正直驚いています。当時は調子がよい状態を前提に準備を始めていたので、今思えば甘かったなと思うのが正直なところです。

 ただし私たちとしては市況がどうであっても本業をしっかりやり抜く。まずはこれが本分です。いいプロダクトを作ってそれを顧客に届ける。そしてトップライン、売り上げを伸ばしていく、事業の価値を社会に問い、証明していくことに尽きると思っています。

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