となると気になるのは、SBIの地銀再生に対する本気度です。同社にしてみれば、提携地銀の余剰資金運用を手伝ったり、地銀の顧客に対して地銀経由で運用商品を販売したりすることは、リスクのない格好のビジネスになっていて、それだけでメリットは十分あります。
例えば、地銀支援の第1弾だった島根銀行など、当初の何行かには資本注入もしていましたが、提携行の数を追うごとにその金額が減る、あるいは資本注入はしないという方向に転換もしています。このあたり傍目には、SBIの“限界地銀”支援は地銀でもうけるビジネスモデルが確立されたから、いつでも逃げられる姿勢に転じてきたのではないかとも受け取れるのです。
当初は“限界地銀”支援を「第4のメガバンク構想」などと名付けて威勢の良い話が聞かれていた、SBIの戦略。途中から「提携は10行で打ち止め」と明言するようになったのも、地銀支援から逃げやすい環境づくりを気にし始めたのではないか、と受け取れます。
提携は10行で打ち止めにして、あとは“お客さん”として地銀相手のビジネスを広げていけるなら、ビジネスとしてのうまみは十分にあるわけです。そのような中で出された今回の「地方創生トライアングル戦略」の中身の薄さからは、新たな商売ネタである新生銀行を手に入れて、地銀再生の本気度がますますかすんできたように見えます。
さらに最新の動きとして6月23日には、三井住友(SMBC)FGがSBIホールディングスに796億円を出資することが発表されました。この一件は改めて取り上げますが、SBI証券への出資を望んだというSMBCの要望を退け、ホールディングスに出資させた点に注目です。
新生銀行の買収額が1138億円ですから、その3分の2を他人のカネで賄ったことになるわけです。“剛腕”SMBCを相手にこの力技ですから、その気になれば地銀などひとひねり。どうやらSBIの思惑を中心に地銀との提携が進むことは間違いなく、火中に栗を拾ったかに見えた“限界地銀”救済は、SBIの「対地銀カネもうけ作戦」に終わるようにも思えてきます。
危機感に乏しく遅々として動かぬまま、SBIを儲けさせ続けるだけの“限界地銀”経営者。片やSBIに逃げられぬよう配慮しつつも、危機に瀕する“限界地銀”をなお延命させるしかない無策の金融庁。そして商売重視で、地銀再生への本気度の薄さが透けて見えてきたSBI。「地銀再生トライアングル」となるはずが「地方創生トライアングル」の名のもとで、“SBI独り勝ち”の構図だけが見えてきたように映ります。
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