22年3月決算で同評価損を計上した地銀は14行。うち清水銀行、スルガ銀行、琉球銀行を除く11行は第二地銀であり、第二地銀の経営基盤の弱さが浮き彫りになった形ではあります。しかしそれ以上に注目すべきは、きらやか、筑波、清水、仙台、島根、福島、東和、大東の7行がSBIの“地銀再生プロジェクト”提携行であるという点です。
もちろん、経営基盤が弱いからこそSBIに支援を求めたわけで、それはそれで納得ではあるのですが、これら7行の資金運用をSBIが担っていた、という点は大いに気になるところでしょう。
例えば先陣を切って19年秋にSBIと業務提携を結んだ島根銀行は、21年3月決算ではSBIの指南による有価証券運用益が改善したことで前年の赤字決算から黒字に転じ、北尾社長が鼻高々にSBIの地銀支援効果を誇示する姿が印象的でした。
しかし22年3月決算では一転、36億円もの有価証券評価損を計上。4月以降ウクライナ情勢の急変、米国の継続的金融引き締め政策の公言等により世界的に相場には重しがかかっており、このままでは外債運用をしている地銀は多額の減損処理を迫られる可能性もあって、島根銀行などは一気に切羽使った状態に追い込まれるかねない状況にあるのです。
同じくSBIの支援提携先のきらやか銀行は、ここに来ての米国金利の急上昇によって外債中心の所有有価証券の評価損が約121億円にまで拡大し、公的資金申請の検討に入ったと発表するに至りました。
そもそも「きらやか銀に運用のプロと呼べる人材がいなかった」(金融当局関係者)という状況下で21年3月決算でも評価損を計上していたわけなのですが、SBIとの提携が本格化した22年3月期が昨年との比較で評価損が4.6倍にも拡大しており、SBIとの提携効果は見られないどころか、むしろマイナスに働いたとすら思える状況です。
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