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優秀な人を欲しがる現場、見つけられずに悩む人事──「中途採用の壁」を壊すため、何をしたのか狙うは引く手あまたのDX人材(3/4 ページ)

» 2022年07月12日 13時30分 公開
[渡辺まりかITmedia]

メールの向こうにいるのが“人”であると意識する

 同社では常時40以上の職種で採用を行っており、しかも部門から求められる要件が高いため人事部は人材探しだけでも消耗しがちだったが、その苦労を開示し、情報を共有し、部門を巻き込むことで成功を収めてきた。

 ダイレクトリクルーティングの手法を確立するまでの試行錯誤は、それだけではない。特に、最初の接点であるスカウトメールの文面に工夫をこらしたという。

 「採用人材の数が多いと、どうしても“人”ではなく“数”と考えてしまいがち」と矢島氏は指摘する。「でも、相手は人です。『あなたのプロフィールをよく読んだ上で送っています』ということを理解してもらえるような文面になるよう心掛けています」

 「新規事業を手掛けられる人材やDXに強い人材は、欲しがられる存在です。そのような人たちに東洋エンジニアリングを選んでもらうためには、限られた文章量の中で、当社の強みついて知ってもらうこと、また『あなたのプロフィールを見て、きっとマッチすると思っています』と考えていることを知ってもらう内容を盛り込むことにしています」(矢島氏)

photo 左から佐藤氏、矢島氏

 また、返信への心理的ハードルを上げないよう、「ざっくばらんに当社の紹介をさせてください。お任せしたいと思っている仕事について説明させてください」と、カジュアルに面談に持ち込めるような工夫も行っている。

 スカウトメールへの返信率は10%程度が相場なので、返事が来なくても深追いすることはない。「受け取った人にも仕事の波、ライフスタイルの波があるはずなので、そこへの想像力を働かせています」と矢島氏が説明する。

 「だから、すぐに2回目を送ることはありませんが、その人の関わっているプロジェクトか何かが一段落したと思えるタイミング、例えば3カ月後や6カ月後くらいに再送してみて、そこから採用につながったということもありました」(矢島氏)

 家族構成も含めた相手の背景に思いをはせ、想像力を働かせて相手の“今”のストーリーを仮説として立て、それに沿ってメールを送る――これは、キャリア採用組だった矢島氏だからこその発想なのかもしれない。

 「その人のキャリアについて想像することが、1人目の成功につながったのではないかと考えています」(矢島氏)

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