成功事例が生まれることで、多くの部門がこれまで以上に協力的になり、その後の採用につながった。しかし、その“最初の1件目”までには半年もの時間を要したという。
「半年間も成果が出ないと、諦めてしまいがち」と矢島氏。それでも諦めなかったのは「成果が出るまで時間がかかること、近道がないことを理解していたから。また、必ず1人目の採用にこぎつけたい、それを成功事例として社内に展開していきたいという心積もりがあったから」だという。
成果が出るまで、スカウトメールの文面を何度も見直し、いわゆるPDCAを回し続けた。そして、その期間も、候補者(人材)のバックグラウンドを想像し、機会を待ち続けたのだ。
さらに、成功には伴走者の協力も不可欠だったという。「最初の成功事例が出るまで、このまま進んでもいいのだろうかと悩んだ」と佐藤氏は振り返る。「でも、ダイレクトリクルーティングサービスの担当者が、スカウトメールの内容や送り方を提案してくれたり、励ましてくれたりしたおかげで1件目にこぎつけられました。社外から伴走してくれる人の重要さを認識しました」
矢島氏も、「社内の人事部が発言するより、社外のプロが『プロの視点で、プロの情報量から』語ってくれる方が、みんな納得してくれる」と付け加えた。
「せっかく共感して来てもらったので、会社に愛着を持ってもらえるよう、Microsoft Teams内に、“同期”のためのチャットルームを開き、そこでコミュニケーションを取ってもらえるようにしている」と佐藤氏。「新卒同期の人たちが持つような連帯感を、キャリア採用組同士にも持ってもらうことで、部門内の潤滑油になってくれています」
それ以外にも、上司やメンター、キャリア採用担当者とのざっくばらんな面談や、部門への簡単なアンケート、懇親会なども行っている。「入社後3カ月の間、誰か1人と週に1度ランチに行く“ランダムランチ”も好評です」と佐藤氏は喜ぶ。
「社内に仲間がいる、という点ではリファラル採用は有利なので、今後は力を入れていきたいですね。中でもアルムナイは、今でも弊社のことをけっこう好きでいてくれるので、戻ってきてくれるよう、働きかけていきたいと考えています」(佐藤氏)
19年に、本格的にダイレクトリクルーティング採用に取り組み始めてから、キャリア採用の半数以上をこの方法で採用できている東洋エンジニアリング。試行錯誤はまだまだ続きそうだ。
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