只見線はどうなるのか 映画『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』主演・監督に聞く(前編)杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/6 ページ)

» 2022年07月16日 08時30分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 JR東日本の只見線は、福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶ、約135キロメートルの長大なローカル線だ。そのローカル線を奥会津の風景とともに、年間約300日、30年間以上も撮影し続けた人がいる。星賢孝氏。名刺の肩書きは奥会津郷土写真家だ。「オレは撮り鉄じゃないよ。この地域の振興のために撮っているだけだから」と彼はいう。

 しかし星賢孝氏は「只見線を最も美しく撮る人」として鉄道ファンに知られている。その星賢孝氏を主役に据えた映画が『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』だ。2022年2月に福島県で先行上映が始まり、いよいよ全国展開だ。まず7月29日から東京の渋谷と吉祥寺でロードショーが始まり、その後は順次全国で公開を予定している。星賢孝氏の写真をスクリーンで見られる。しかも動く風景を楽しめる。

奥会津郷土写真家で、映画『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』で主演の星賢孝氏

 ところが、映像はそれだけではなかった。只見線は11年7月の新潟・福島豪雨により3つの鉄橋が流出し、会津川口〜只見間が不通になった。奥会津の美しい風景とともに、その惨状と、復旧に向けた人々の強い思いを描く。

 誰も乗らない只見線の価値を人々に気付かせたきっかけが、星賢孝氏と仲間たちの活動にあった。写真を発信し、世界から人々が訪れる。奥会津に訪日旅行客を引き寄せ、地域を活性化する。

 『霧幻鉄道 只見線を300日撮る男』の魅力と、22年10月1日に不通区間が復旧し、11年ぶりに全線で運行を再開する只見線のこれからについて、主演の星賢孝氏、監督の安孫子亘氏に聞いた。

安孫子亘監督
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