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「面接官の履歴書」学生に提示――デジタルハリウッドが新たな採用スタイル導入 狙いは?新卒採用市場を占う試金石に(1/3 ページ)

» 2022年07月20日 06時30分 公開
[濱川太一ITmedia]

 企業の新卒採用といえば、応募する学生が履歴書を作成して企業に提出するのが一般的だ。そんな従来の在り方を覆す、新たな採用スタイルを取り始めた企業がある。大学事業などを手掛けるデジタルハリウッド(東京都千代田区)だ。学生だけでなく、面接官も履歴書を作成し、面接試験の数日前に学生に共有する。「採用面接のあり方に一石を投じる意義がある」と専門家も指摘する今回の取り組みは、一体、どのような経緯から始めたのか。

デジタルハリウッドは面接官の履歴書を学生に共有する新たな採用方法を導入した(同社提供)

 「写真撮影が趣味です。旅行も趣味なので旅先で風景や家族の写真を撮ったり、社内でイベントがあればカメラマンとして呼ばれることもあります」

 企業側が、応募する学生たちに共有する面接官の「プロフィールシート」。面接官の名前、これまでの職歴、社内でのキャリア、趣味や特技・自己PR、仕事のやりがいなどがA4用紙1枚に詳細に記載されている。学生が企業に提出する履歴書と遜色のない内容だ。

 2023年4月に入社予定(23年卒採用)の学生を対象に始めた、新たな採用スタイル。同社執行役員で広報室長の山本隆三さんは「18歳人口が減り、新卒採用の難易度が上がっている中で、大学事業を展開する当社は、一般企業以上に危機感を抱いていました」と説明する。

採用面接の前々日に学生に共有する面接官の履歴書サンプル(デジタルハリウッド提供)

 同社が懸念を示すように、近年の少子化に伴って新卒採用市場は年々縮小傾向にある。文部科学省のまとめによると、1990年以降の18歳人口は94年の205万人をピークに減少を続け、2019年は117万人。20年後の40年には88万人まで減少することが予測されている。

 そんな中で「新卒採用市場で存在感を発揮し、いかにしていい人材を発掘できるか」(山本さん)と長年、試行錯誤を続けてきたという。

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