面接官の履歴書を事前に学生に共有するという新たな採用スタイル。専門家はどう見るのか。働き方や企業の採用活動に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんは、「これまでの一方通行な採用面接のあり方に一石を投じる意義がある」と説明する。
川上さんによると、これまでも、面接官が採用面接の場で、口頭で自身の経歴を詳しく説明するような取り組みは一部の企業であったという。
一方で、デジタルハリウッドのように、面接官が履歴書を作成し、応募者に提示することを会社のポリシーとして掲げ実行しているケースは珍しいという。
「採用面接には、会社側が一方的に応募者を選考するイメージがあります。しかし本来は、応募者側も自分の勤め先として適切な会社か否かを見極める場です。それは当然ながら、新卒採用においても同じです。面接官が自身の履歴書を学生に提示することは、その会社にとって採用面接は、会社側が学生を一方的に選考するのではなく、お互いが選び合う場だと考えているというスタンスを明確に示すものであり、これまでの一方通行な採用面接のあり方に一石を投じる意義があると思います」(川上さん)
「企業側にそのつもりがなかったとしても、応募して選考を受ける学生に威圧感を与えてしまっていることがあります。その点、お互いが選び合うスタンスを示すことで、学生との目線がフラットに近づき、より素に近い状態でのコミュニケーションが図りやすくなるメリットがあるように思います。また、そんなスタンスに共感して選考を受けてみたいと考える学生も現れるかもしれません」(同)
少子化の進行や、働き方や世の中の価値観の変化――。時代の変化とともに、採用に対する考え方も変化していく。デジタルハリウッドの新たな取り組みは、企業の採用活動の在り方や考え方を大きく変える、先駆的な事例になるのかもしれない。
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