ではどうして21年3月期には有価証券関連の大きな損失が出てしまっていたのでしょうか?
14年からの3月末時点の株式型の投資信託の金額の推移を見てみると
となっていて14年〜19年3月末までは株式型の投資信託を大きく伸ばしていて、それを20年3月期以降減少させ、21年3月期にはゼロにしています。
アベノミクスによる大規模な金融緩和もあり低金利が続いていましたから、そんな中で貸し出しなどの業務の収益性は悪化し、有価証券運用の軸である債券利回りも悪化していました。
一方で株高が続いていましたから、業績回復のためにも株式への投資での収益拡大を狙っていたことが考えられます。しかし有価証券の含み損益は、19年3月期には15億円のマイナス、20年3月期には新型コロナの影響による株安もあり40億円のマイナスと、投資は裏目に出ました。
21年3月期には株式型の投資信託の残高がゼロになるとともに、有価証券の評価損益は3億円のプラスになっています。株式関連の投資がうまくいかない中で、含み損の株式型の投資信託をロスカットして一時的に大きな赤字を出しました。ちなみに18年3月期も赤字となっていましたが、その際にも有価証券関連の損失が影響していました。
業績の苦しい福島銀行ではリスクを取った投資をする必要が出てしまい、それがあまりうまくいかず、大きな赤字が定期的に出てしまっていたようです。
今は株式型の投資信託の金額はゼロとなっており、こういった一時要因による大幅な赤字転落といった可能性は低くなっています。
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