法人の支出を支払い方法別に分類すると、請求書、経費精算、そして法人カードに大別される。LayerXは請求書と経費精算に関するSaaSを既に提供しており、今回法人カードを提供することで、すべての支出を一元管理できるようになる。
「カード決済のビジネスをしたいのではない。法人カードを利用する前後の業務課題を解決したい。一気通貫の法人支出管理を実現したい」(福島氏)
キャッシュレス決済の普及という文脈でも、法人カード領域では新規参入が続いている。既存クレジットカード各社が力を入れるだけでなく、中小中堅企業向けERPを提供するfreeeやマネーフォワードも、この1年で相次ぎ法人カードの提供を始めた。
さまざまな競合があるなか、バクラク ビジネスカードの差別化のポイントは、ユーザー体験の統一にある。昨今、海外SaaSを中心にカード決済しか受け付けないサービスが増加している。企業の利用が多いものでいえば、Google広告、AWS、Zoom、Slackなどが典型だ。ところが、企業の決済プロセスはカードを扱う前提で構築されていない。
「事前申請が漏れる。サブスクリプション系サービスの利用が勝手に更新されてしまう。誰が何のために使ったのか分からない」「従業員にカードを配ったが、利用の事前申請が上がらない。経費精算できないものを決済してしまうケースが多発した」など、バクラク ビジネスカードの開発にあたったLayerXの秋田康男プロダクトマネージャーは企業の実態をこう説明する。
事前に稟議を上げて通ったら、経理担当が金庫からカードを取り出し、担当の横でカード番号を入力。終わったら番号をPCから削除するというプロセスで運用している企業もあるという。
こうした課題を解決するために、利用前の統制のプロセスと、利用後の情報回収のプロセスを最適化する。それがバクラク ビジネスカードのコンセプトだ。さらに、ユーザーインタフェースをバクラク請求書、バクラク経費精算と共通化する。「請求書は◯◯で、経費は◯◯で、カードは◯◯で申請してください、はあり得ない。ワークフローがバラバラだと従業員は混乱する」(福島氏)
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