利益倍増の琉球銀行、そのカラクリは?妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(5/8 ページ)

» 2022年07月28日 08時24分 公開
[妄想する決算ITmedia]

カードビジネスがけん引し、役務取引が好調

 続いてもう少し詳しく業績を見ていきましょう。

 大きく伸びているのは役務取引利益(手数料収入)で5.1億円(8.8%)増となっています。預貸金収支に関しては1.8億円(0.8%増)と微増で、有価証券運用の市場部門に関しては5.6億円のマイナスと不調です。

 また、経費面を見ていくと2.2%減となっています。

 経費が減少した要因としては人員削減も影響しています。人員削減はコロナ以前から積極的に進めていて、18年3月期には1801人いた人員は22年3月期には1571人まで減っています。

 窓口業務はもちろん与信管理など融資関連の業務、有価証券の運用業務でもテクノロジーの進歩で業務に必要な人員数というのは減っていっていますから、当然必要な銀行員の数も減らしていくわけです。

 売り上げの拡大だけではなく、業務効率化を通じた経費削減によって収益性を上げていくのも銀行にとっては重要な手法ですので、そこにも注目です。

 また、好調だった役務取引を見ると、伸びているのは住宅ローン手数料に加えて、カードビジネスです。

 このカードビジネスとは、デビットカードによるものです。近年は琉球銀行だけでなく、多くの銀行がデビットカードを積極的に展開しています。

 EC含めインターネット関連のサービスが普及し、オンライン上でも決済が容易なカードでの決済手段を持つことの必要性は以前より増しています。その一方でクレジットカードを作るのには信用が必要で、作りたくても作れない方もいます。

 そういった中でデビットカードやBNPLといわれる後払いのサービスなどが成長しています。デビットカード市場は今後も拡大が予想されていますから、今成長が期待できる事業の一つでしょう。

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