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社員の「隠れ体調不良」は、企業の「隠れ機会損失」に? 健康経営が、今注目されるワケ連載「情報戦を制す人事」(1/3 ページ)

» 2022年08月16日 10時30分 公開
[眞柴亮ITmedia]

連載「情報戦を制す人事」

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 従業員の健康保持や増進を経営課題として捉え、マネジメントする「健康経営」。従業員のエンゲージメントや生産性を高める取り組みは企業価値の向上につながります。

 一方、長時間労働による労働環境の悪化や従業員の体調不良は、企業活動における機会の損失など、経営上大きなリスクになることも。社会情勢が変化する中でも事業を持続的に発展させるために、企業はどのような取り組みをするべきなのか。健康経営の観点から解説します。

健康経営は、企業の“責任”に

 労働人口が加速度的に減少する中、従業員が健康で高いパフォーマンスを発揮し、継続的にスキルアップをしながら働き続けることが社会全体で必要になっています。

 こうした状況下において、株主・市場からは投資先として、求職者からはブラック企業でない就職先として、「健康経営の実施度合い」が企業を選定するための競争要因になり得るものです。また、「健康経営の実施度合い」が客観的に分かるよう、行政も各種の認定制度を設けています。

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人的資本としての健康経営

 企業の業績を客観的に評価する指標としては財務指標が利用されてきましたが、財務指標には従業員のスキルなどの企業価値は反映されていません。

 そのため、真の企業価値を把握するために非財務指標、いわゆるESG投資が必要とされ、その一部として人的資本が注目されています。

 ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことです。投資家はこの指標をもとに、事業の社会的意義や成長の持続性など優れた企業特性を持つかを判断します。

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 非財務情報としての人的資本開示についての詳細は割愛しますが、経済産業省の「非財務情報の開示指針研究会」の第3回会合(2021年9月1日)に開示項目の例として示された項目には「身体的健康」「精神的健康」が含まれています。

photo 経済産業省「第3回 非財務情報の開示指針研究会資料3 事務局資料」より
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