鉄道貨物の諸問題解決が急務、運送業界「2024年問題」に備えよ杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/10 ページ)

» 2022年08月19日 09時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 「日本の列車はダイヤに正確で、旅行者をはじめ世界中の鉄道関係者の評価が高い」という。それは新幹線はじめ旅客列車に限った話だと心得てほしい。貨物列車はその限りではない。なにしろ全国ネットワークで長距離を走るから、どこかで障害が起きれば、その遅延は全国に波及する。

 JR貨物の公式サイトで「お詫び」のプレスリリースが掲載されている。8月4日から本稿執筆時点の8月17日まで、ほぼ毎日だ。お詫びの理由は貨物列車の運休や遅延。しかし、原因はJR貨物自身にはない。

 2022年台風8号の日本上陸と、その前後に発生した大雨で東北地方を中心に線路が被災したからだ。この台風「メアリー」は北朝鮮が提案した名前で、日本語の「やまびこ」だという。東北新幹線の列車名と同じとは皮肉だ。

貨物列車は本州と北海道を結ぶ重要な物流ルート

 JR貨物は自社の線路を持たない「第2種鉄道事業」だ。被災した線路の所有者はJR東日本である。JR貨物は自分自身に原因がないけれど、お客様にサービスを提供できないから謝罪しなくしちゃいけない。自分の不始末ではないのに、謝罪するってツライよね。

 私も雑誌の広告営業担当時代に、何度も広告主にお詫びした。原因が印刷会社の仕上がりミスであっても誠心誠意でお詫び。お詫びしつつも心の片隅で「なんでオレが……」と思ったことも事実。そんな思いを経験した人も多いだろう。JR貨物に心から同情する。

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