鉄道貨物の諸問題解決が急務、運送業界「2024年問題」に備えよ杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/10 ページ)

» 2022年08月19日 09時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 検討会の第3回は大口および専用貨物の荷主から。ホクレン農業協同組合連合会(以下、ホクレン)は「5トンコンテナは産地もユーザーも使いやすい」「全道・全国ネットワーク」「全国約140カ所の貨物駅で集配の細やかな対応」「コンテナの一時保管サービス」を高く評価しつつ、「5トンコンテナ単位の前提で、それより小ロットや20トンロットは割高」と指摘。トラックやトレーラーは車両総重量規制が緩和されているという背景もある。「災害や事故の影響を受けやすく、生鮮品や急送品にリスク」「有事の代替輸送は荷主任せになり、フォロー不足」と手厳しい。

北海道の農産物出荷に鉄道貨物は重要(出典:国土交通省、今後の鉄道物流のあり方に関する検討会 ホクレン資料
ホクレンによる貨物列車の利点と欠点のまとめ。有事の代替輸送は荷主任せという不満は、ほかの荷主や通運会社からもあった(出典:国土交通省、今後の鉄道物流のあり方に関する検討会 ホクレン資料

 味の素、ハウス食品、カゴメ、日清製粉、日清オイリオの物流事業を統合して設立された「F-LINE」は、荷主側面から見た鉄道輸送の印象として、「ほかの輸送モードに比べて運行トラブルが多い」「商品事故が多い」「輸送障害の発生率が高い、復旧状況も分かりにくい」「どこに依頼するか分かりにくい」「料金体系が分かりにくい」「貨物列車のダイヤが分かりにくい」「旅客列車の空席状況のような仕組みがなく、空き枠情報が分からない」「鉄道輸送の仕組みが分かりにくい」「環境にやさしい輸送であることが理解されていない」と手厳しい。

 これは商品の共同輸送を担う会社として、JR貨物の上得意だからこその「愛ある厳しさ」だと思う。特に「環境にやさしい輸送」については、国交省も鉄道貨物利用商品にエコレールマークを与えるなどしているけれども、それが消費者に伝わらず販促メリットにつながっていない。

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