鉄道貨物の諸問題解決が急務、運送業界「2024年問題」に備えよ:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/10 ページ)
JR貨物の公式サイトでは「お詫び」とは別に輸送状況が併記されている。これがかなり壮絶だ。8月15日福岡発の札幌行きの6時間46分遅れを筆頭に、東北方面は4時間以上の遅れが続出。17日札幌発の名古屋行き、東京(隅田川)行きは「停車中」。つまりどこかで停まったまま、発車の見込みが立たない。
17日福岡発の東京(大井)行きは4時間35分遅れの予定だ。九州でも大雨警報が出ていることもあるけれど、東北地方から貨車が戻ってこなければ出発できない。機関車は全区間通しではなく、いくつかの区間でリレーしているけれど、それにしてもやりくりの都合がある。遅れてくる貨物列車のために待機させれば、遅れていない貨物列車の機関車が足りない。
線路はJR旅客会社の保有だから、列車ダイヤも些細(ささい)な遅延が発生した場合も旅客列車が優先される。早朝に通過する区間に遅れようモノなら、通勤ラッシュが終るまで待たされる。JR貨物が旅客会社に十分な線路使用料を払っていれば上得意様として通してくれるかもしれない。しかし実際はアボイダルコストといって、ぶっちゃけレールの摩耗分くらいしか払わないルールになっている。
JR貨物はそのおかげで低運賃の輸送サービスを提供しているけれども、旅客会社から見れば安い客は後回しだ。単価の安い客にはサービスレベルが低くなる。世の常である。
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。
- ドラえもんがつくった地下鉄は公共交通か? ローカル線問題を考える
『ドラえもん』に「地下鉄を作っちゃえ」という話がある。のび太がパパのためにつくった地下鉄は公共交通と認められるか。この話をもとに、公共交通になるための過程、利用者減少から撤退への道のりを考えてみたい。
- 2025年の大阪・関西万博で、鉄道の路線図はどうなるのか
2025年に大阪、夢洲で「2025年大阪・関西万博」が開催される。政府は主要公共交通機関に大阪メトロ中央線を位置付けた。このほか会場へのアクセスには船とバス、さらに具体化していない鉄道ルートが3つ、近畿日本鉄道の構想もある。また会場内の交通には、3種類のモビリティが計画されている。
- 不人気部屋が人気部屋に! なぜ「トレインビュー」は広がったのか
鉄道ファンにとって最高の「借景」が楽しめるトレインビュールーム。名が付く前は、線路からの騒音などで不人気とされ、積極的に案内されない部屋だった。しかし鉄道ファンには滞在型リゾートとなり得る。トレインシミュレーターや鉄道ジオラマなど、ファンにうれしい設備をセットにした宿泊プランも出てきた。
- 東京メトロ「有楽町線」「南北線」の延伸で、どうなる?
東京メトロ有楽町線と南北線の延伸が決定した。コロナ禍で事業環境が大きく変化する中、東京メトロが計画する今後の戦略とは。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.