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日本IBMが、欲しい人材を採れる秘訣 独自の採用チームの実態に迫るダイレクトリクルーティング事例(3/4 ページ)

» 2022年08月26日 11時30分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

ブランディングから入社までの流れ

 実際に採用の現場では、どのように活動しているのか。ブランディングから入社に至るまでの業務フローとそれを実行する役割分担の詳細については、下図2を参照いただくとして、採用に至るまでの流れについて聞いた。さまざまなケースが存在するため、あくまでも1例に過ぎないと前置きした上で、次のようなプロセスで採用に至ることがあるという。

photo 図2 「タレントアクイジション」の組織と役割(図は日本IBM提供)

 「転職を検討している人が登録しているSNSを経由して当社のリクルーターから声がけする場合があります。先方は、転職を希望しているわけですから、この場合リードタイムは短くなる傾向にあります。その上で、30分から1時間のミーティングの場を設け、当社や採用ポジションの説明、候補者におけるキャリアプラン上のメリットといったお話をさせてもらいます。その後、ビジネス部門を交えた面談に進み採用に至ります」(中垣氏)

photo Sales, Software and Corporate Functions Segment タレントアクイジション マネージャー中垣力也氏

 その一方で、アプローチした候補者が転職を考えていない場合はどうなるのか。

 「そのような候補者については、当社に転職することで得られるメリットに気づいてもらうところからお話するようにしています。通常、1回の会話で応募に同意してくれることはありません。2回、3回とタイミングを見ながらお話させていただきます。当然、時間はかかりますが、転職のメリットに対する理解を深めてもらうためには必要なことです」(中垣氏)

 ただ、選考の結果として、応募してくれた候補者を日本IBM側から断る場合もあるのではないか。

 「お声がけした候補者とこちらが求めるポジションとのマッチングにおいて、タイミングが合わないこともあります。その場合は引き続きタレントプールにキープしておくといったことを候補者にお伝えして理解していただきます」(中垣氏)

リクルーターの役割とは

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 採用活動を現場で進める担当者の各役割について触れておこう。候補者を見つけ、内定に至るまでの全てのプロセスにおいて、業務設計、候補者の母集団形成、選考プロセス、内定受託までをフォローする「Talent Acquisition Partner」という役割が存在する。一般的にいう「リクルーター」という位置付けだ。

 他には、主にダイレクトリクルーティングのチャネルに特化しリクルーターを補佐したり候補者の母集団を形成する「Talent Acquisition Sourcer」、日本IBMの採用活動の認知度向上に特化して活動する「Branding」、リクルーターの管理業務を補佐する「Talent Acquisition Coordinator」、入社が決定した人材の研修などを補佐する「Onboarding」で構成される。

 各チャンネル共通にいえることだが、採用するポジションが求める能力やスキルに合致した候補者を見つけ内定までフォローするリクルーターの力量がそのまま採用活動の質に直結する。ひいては、企業の収益力に影響することになる。

 「リクルーターの育成にもコストと時間がかかります。そのため、組織として役割分担しノウハウを組織全体で共有し継承する仕組みを構築しています。また、リクルーターとしての評価は、各種の採用数に加え、指標には現れない各種のバックオフィス的な業務、チーム全体への貢献などもも評価の対象になります」(佐々木氏)

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