攻める総務

総務は至急「社内ぶらぶら」すべし! ウクライナ侵攻の自社への“意外な影響”を回避するには「総務」から会社を変える(1/2 ページ)

» 2022年09月02日 10時30分 公開
[豊田健一ITmedia]

戦略的「守り」の総務

 戦略総務。この言葉の意味は、一般的には攻めの総務という響きがあります。総務が企画し、総務主導の取り組みにより、会社を変えていく、そんなイメージでしょう。

 ところが、世はVUCA時代。何が起こるか分からない状況下では、アンテナを高く持ち、素早くリスクの臭いをかぎ取り、積極的に守っていく、そんな戦略的「守り」の総務がにわかに重要となってきた感があります。

 さらに、守りがしっかりできていない中で攻めに転じても、足元をすくわれるだけ。コロナ禍、ウクライナ侵攻、それによる資源高やインフレ危機──もしかしたら、総務は攻めから守りへ、守りの戦略総務の時代となってきたのではないでしょうか?

VUCAの時代にこそ、総務は“ぶらぶら”すべき その心は?

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 守りの総務といっても、従来のような「何か起こったら対処する」スタイルでは間に合いません。積極的な情報収集が何より重要となります。何か起こったら対処するのは、危機管理。その前段階は、リスクとなり得るものを想定して準備や予防、これがリスク管理。今こそ求められるのは、その前の段階としての「課題管理」です。

 課題管理とは、自社にとって良いか悪いかまだ分からないが、何らかの影響をもたらす事象を注視していく、ということです。悪い影響をもたらすなら、リスク管理の対象として、対処や予防に取り組みます。好影響を与えるものであれば、チャンスとして捉え、これに乗じて積極的に仕掛けていきます。

 いずれにせよ、専門家との接点を増やすなど、情報収集することが肝要です。自分の興味のある事象だけでなく幅広い情報に触れておきましょう。特に地政学的リスクについては注視しておく必要があります。サプライチェーン関連などのグローバルでの思わぬ展開が、バタフライ効果で自社に影響をじわじわと与えることもあり得ます。

 VUCA時代と言われ、何が起こるか分からない時代です。つまり、初めての経験や未知との遭遇が、これまで以上に頻発することが考えられます。過去に経験がないがゆえに、誰も解決法が分からず、「Know How(ノウハウ)」が通用しない時代でもあります。

 大事となってくるのは、「Know Who(知っている人を知っている)」、ということです。自社にとっては未知との遭遇であっても、専門家にはその対処の仕方を知っていることも多々あります。情報収集の際にも必要な、いわゆる専門家とのネットワーキングが、この未知との遭遇への対処でも必要となるのです。とにかく積極的に外に目を向けて、人脈形成しておくことが、今後の総務には特に大事なスキルとなってくると思います。

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