ピラミッドを立て直し「100年続くK-1」に  中村プロデューサーに聞く「武尊vs.天心の舞台裏」「消滅」から立て直しまで(4/5 ページ)

» 2022年09月06日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

天心との試合引き受けた理由

――THE MATCH全体では、RISEを含む他団体との対戦で、7勝9敗と負け越しました。どう受け止めていますか?

 勝負事なので、純粋に負けて悔しいというのはあります。われわれはずっとK-1という競技を確立させるスタンスでやってきましたが、違うスタイルの選手とやってみて、競技への姿勢や取り組みの違いを、あらためて学びました。

 振り返ると、良くも悪くもKOを狙ってアグレッシブに行くのがK-1のスタイルで、それをやれば勝てると思っていた部分があります。自分たちのスタイルをぶつけて勝とうとしていたところがありました。

 一方、対戦相手の側からこの試合に勝つために、相手のクセを見抜いてそこをつこうとするなど、かなり研究されていたことを感じました。

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――武尊と天心の試合でも、そういう部分が出ましたね。

 これまでは、いかに自分たちの力を100%出すか、能力をどう上げていくかを考えてきました。ただ、対戦相手に対して、相手をどう研究するかとか、戦略を練るとか、セコンドはどう指示を出すのかとか……。これらを洗練させていかないと、K-1という競技の成熟につながらないと感じました。今回はいろいろ勉強させてもらったと思います。

 私たち運営側も選手も、この結果を踏まえての取り組み方は課題になるでしょう。成長するために何が必要なのかを考えさせられました。勝つつもりでいたので非常に悔しいです。

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――もし負ければK-1の名前に傷がつくのは、中村プロデューサーも理解していたと思います。それは経営にも影響を及ぼす可能性があるからです。中村プロデューサーは、那須川選手との対戦を引き受けたからには勝つ自信はあったと思いますが、経営判断としてはどうでしたか?

 そこは武尊選手と天心選手の「やりたい」という思いがあったからですね。

 私は天心選手と関わりはないですが、武尊選手がやりたいと言っていたカード、ファンが見たいと言っていたカードを何らかの形で実現させたいと考えていました。もし結果が出なかったとしても、K-1には選手層の厚みがありますので、経営に大きな影響を与えるまでには至らないと判断しました。

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