2022年の格闘技界は、4月のゲンナジー・ゴロフキン対村田諒太、6月の井上尚弥対ノニト・ドネアをはじめビッグマッチが続いた。その決定版と言えたのが、東京ドームで5万6399人を動員し、武尊と那須川天心が激突した「Yogibo presents THE MATCH 2022」である。
異なる団体のトップ選手による真の頂上対決が行われた非常にまれなケースだ。
負ければ団体の名前に傷がつき、場合によっては、その後の大会に影響を与えるため、各団体側は難しい判断を迫られる。
「K-1」の創始者でもある正道会館の石井和義氏はTwitterで「チケット売り上げ20億、ペイパービュー50万件25億、スポンサー5億、計50億。全ての興行記録塗り替えたね」と数字の推測を含むツイートをした。
新型コロナウイルスの影響を受けなかったとき、新日本プロレスの19年7月期の売上高は54億1600万円だった。あくまで石井氏の憶測(おくそく)ではあるが、THE MATCHの1日だけで、新日の1年間の売り上げ以上をたたき出したことになる。
特に地上波放送なし、かつ課金による視聴はゴロフキン対村田の試合から各メディアでも注目を集め出しており、武尊対天心で大きな結果を出した形だ。
他の格闘家では、そこまでの数字を出すのは難しい。そのままPPVが金のなる木になるかと言えば、それは別の話だろう。ただ、人口減少により、パイが減っている日本の市場を考えると、格闘技のみならず他のスポーツにとっても新しい収益源になり得る可能性を証明した。そのことに価値がある。
新しい格闘技のビジネスモデルを開拓しているのがK-1だ。1990年代後半から2000年代頭にかけて大きなブームを巻き起こしたにもかかわらず、消滅。2014年に新しく復活を遂げ、愚直に興行を行いながらTHE MATCHを制作実行委員会として共催できるまでになった。それは、過去の反省を生かし、少々のことでは経営が揺らぐことのない長期的な視野に立った組織づくりをしているからだ。
K-1実行委員会は9月11日、「K-1 WORLD GP 2022 JAPAN〜よこはまつり〜」を横浜アリーナで開催する。K-1 JAPAN GROUPとしての横浜アリーナ大会は21年9月以来、3度目の開催だ。
K-1が目指すものは何なのか。K-1のプロデューサーを務めるK-1 Japan Groupの中村拓己プロデューサーがアイティメディアのインタビューに応じた。
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