「新機能の開発途中で、冷凍ギョーザは300食焼きました」――そう話すのは、Panasonic Cokking@Labレンジ部の矢野紗也子さん。パナソニックを代表する調理家電「スチームオーブンレンジビストロ」の開発を手掛けている。同社は8月末に新型のビストロを発売。開発に2年かけた新型機種には、コロナ禍がもたらした食卓の“ある変化”に対応した新機能を搭載したという。
“ある変化”とは、コロナ禍での冷凍食品市場の伸長だ。市場規模は、2019年度の約8824億円から21年度には1兆158億円(19年比115%)に拡大。カテゴリー別に見ると「食卓おかず」や「麺類」が特に増加したという。
コロナ禍での冷凍食品市場の伸長(商品説明会で記者撮影)
また、同社のキッチン空間事業部調理機器UB商品企画部の亀谷佳子さんは、冷凍食品に対する消費者の意識も大きく変わったと指摘する。「コロナ以前は冷凍食品=手抜きのイメージでした。しかし、コロナ直後、食材のストックの必要性の高まりや、巣ごもりで毎日3食の食事を作ることへの疲弊と時間的コストの対策が急務となりました」(亀谷さん)
冷凍食品が毎日の食卓に定着(商品説明会で記者撮影)
多くの家庭が、ともすれば一日中キッチンに立っていなければならない状況に陥ったことで、手軽に調理が可能な冷凍食品が重宝され始めた。現在では、セカンド冷凍庫の普及にもあるように、冷凍食品が毎日の食卓に定着。サブ的位置付けだった冷凍食品は今や、食卓のメインを飾るまでになっている。
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