LayerX編:急成長スタートアップはどんなSaaSを使ってる?あの企業が使うバックオフィスSaaS(3/4 ページ)

» 2022年09月06日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

順次自社プロダクトの利用を拡大

 21年には社員数が50人を超え、バクラクシリーズのラインアップも拡充していく。自社でも使い始めたのが、ワークフローSaaSのバクラク申請だ。併せて、健康管理SaaSのCarelyも導入。健康診断や残業時間のデータを元に、ケアが必要かどうかを判断できるサービスだ。法令で求められているストレスチェックもCarely上で行える。

年度ごとの従業員数と主な利用SaaSの変遷(LayerX資料より)

 22年に入り、事業はさらに拡大。社員数は100人を超えた。このタイミングで導入したのがSmartHRだ。これまでは給与計算を社内で行っていたが、「100人を超えて、社労士に外部委託したいと考えた。そのときに従業員情報を何らかのツールでやり取りする必要があったが、社労士が慣れていて普及しているSaaSのほうが良い」(木村氏)という点が選定のポイントだった。

 同社では労務管理にかかわる申請はそこまで多くないが、SmartHRを評価ツールにも使い、また人事情報のマスターデータベースとしても活用している。

 同時期に、自社プロダクトであるバクラク経費精算を導入。MFクラウド経費から置き換えた。自社プロダクトを自分たちで使うのは当然のことではあるが、一人のユーザーとしてもバクラクシリーズで統一されることのメリットを感じている。「経費精算にかかわる一連の流れが同じUIで利用できるようになった。管理側からみても、いろいろな管理画面はできるだけ触りたくない」(経営管理部の堀江慧子氏)

 一方で、新たに導入したのがMFクラウド請求書Plusだ。MFクラウド請求書で作った請求書は、これまで一通一通メールで送っていたが、バクラク事業の拡大に伴い請求書発送業務が増加。請求書をPDF添付して一括送信できるクラウド請求書Plusを追加導入した形だ。営業管理ツールとして利用しているSalesforceとの連携も可能だ。

 パーツ単位に分かれて導入したり外したりができるマネーフォワードのシステムを、うまく活用した形だともいえる。

 ちなみに、クラウド会計Plusをfreee会計と比較した場合に、管理会計に活用できる機能強化に期待しているという。「freeeには部門の概念がなくて、費用や売上に複数のタグを付けられる。マネーフォワードには部門があるが、ほかに付けられるのは1つしかない。SaaSはどんどん進化するのが魅力の一つで、つい欲張って新機能を期待してしまう」と木村氏。

 管理会計では、さまざまな観点から費用の付け先を調整して部門ごとの損益計算書などを作る必要がある。freeeの場合、タグを付けることで多彩な集計が可能になるが、マネーフォワードではその機能が限られているということだ。ただし、マネーフォワードは顧客が確認できる開発計画の中で本機能を挙げており、近い将来対応可能になるかもしれない。

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