クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

新型エクストレイル 欠点のないクルマの意味(後編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

» 2022年09月13日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

ワンペダルドライブをどう捉えるか

 気になったところがまるで無いかといわれると、ひとつ挙げておかなくてはならないのは床板の微振動である。トヨタのGA-Cプラットフォームの最大の弱点は同じく床板の微振動なのだが、それには勝たないといけないのではないかと思う。かかとから入ってくる振動をもう少し抑えれば、もう少し高級感が出ると思われる。元々震動源が少なく、相対的に静かなクルマだけに頑張りようはあるはずだ。

 もうひとつあった。日産がe-Pedal Stepと呼ぶワンペダル操作についてだ。これまでの日産では「Step」の付かない「e-Pedal」という呼び名で、完全停止までワンペダルでできたのだが、e-Pedal Stepでは停止時にはブレーキペダルを使うようになった。変更された理由は分からない。一部の人は騒ぎそうな気もするが、止まるときにブレーキを踏むのは当たり前といえば当たり前なので、少なくとも筆者としては、そこは大した差だとは思っていない。

 ちなみに回生ブレーキが強めに利くワンペダルそのものは、特にスポーツドライブ領域においては前後荷重制御の選択肢として良い物だと思うが、一方で万人向けとは言えない。定速で走ろうとしたとき、加速も減速もしない踏み具合をドライバーがわきまえて操作しなくてはならないからだ。それは力量が一定以上のドライバーでないとたぶんストレスになるだろう。

 何でそんなことを書くかというと、e-Pedal Stepがオンの時に回生ブレーキが利くのは問題ないのだが、エクストレイルではオフの時でもそこそこ利いてしまう。だからオフでの回生をもっと弱めるか、もしくは、現在のオフをe-Pedal Stepの1段目として、それより回生の強いオンを2段目に設定し、オフを別に設けた方が良いのではないかと思う。運転が下手な人でも戸惑わずに扱えるインターフェイスは大事だと思う。

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