インフォマートはPeppolとどう向き合うのか? インボイス制度に向けた戦略(2/3 ページ)

» 2022年09月13日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

当初からデータtoデータで

 最初から双方がデジタル化してやりとりするのが理想だ。しかしそこへのハードルは高い。請求書の電子化サービスであれば、受領側企業が導入すれば、それで済む。しかしデータtoデータを目指す場合、1社にだけ導入されてもダメでその取引先にもすべてに導入してもらう必要があるからだ。

 導入も大変だし、インフォマート側の負担も大きい。「われわれは最初からデジタルサービスを作っているので、取引先が1000社あると、1000社をサポートしなくてはならない。ビジネス的にも一気にお客さんを増やさなければならない」(木村氏)からだ。

 BtoBプラットフォームの導入先企業は、比較的大企業が多い。これは紙のやり取りをデジタル化するよりも、最初からデータでやり取りしたほうが、長い目で見て効率的だと判断されることが多いからだ。

 一方で中小企業では、請求書のやりとりを長く担当している社員がいる。担当がいれば業務は回るし、デジタル化してしまうとその社員の仕事はなくなってしまう。担当者の業務を改善するニーズはあるが、担当者を不要とするニーズは現場にはない。

 そのため、BtoBプラットフォームの商談においても「経営者に商談するとほぼ当社に決まる。現場の方に持っていくとコンペになる」(木村氏)という。

 発行側と受領側の双方がシステムを入れる必要がある場合、最初の課題となるのが、どのようにして浸透させていくのかということだ。しかし、すでに取引先がBtoBプラットフォームを使っているという状況になれば、一気に移行が進む。電話やFAXの普及期でも起きた、いわゆるネットワーク効果だ。

発行側、受取型の双方がBtoBプラットフォームを導入していれば、デジタルですべてが完結する。漏れる部分をフォローする形で、PDFや紙もオプションとして取り扱う

 もちろんデータtoデータに教条的にこだわるわけではない。補完的にPDFや紙の受け取りに対応したり、紙の請求書の郵送代行などのサービスもスタートさせた。受け取った請求書のデジタル化については、新興のDeepWorkが提供するinvox受取請求書を組み合わせるようにしている。

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