高野 新規事業を立ち上げたと聞くと、すごくキラキラして見えますが、つらいこともあったかと思います。それをどう乗り越えたのかを聞かせてください。
米田 最終審査の時に上層部などからコメントをもらうんですが、そのコメントを見て、僕のビジネスモデルがサブスクであるところに注目してくれているんだなと。で、フィジビリティスタディを走らせて、事業化時点のジャッジになると、「サブスクよく分からないんだよね」みたいな(笑)。
それって何が原因かというと、やはり不動産会社なんで、そこから離れたことをやろうとすると、評価する物差しがないんですよ。不動産投資の物差しはいくらでもあるんですけど、旅とか観光とかになると、たちまち「えっ?」となるわけです。それに対して僕が用意できていなかったのがまずかったなと、反省しながらやっていました。
中村 私のチームはメンバーが4人います。当初は、自分の思い入れが強い分、こうしたら良いのではないか、こういう方がうまくいくのではないか、と思ったことを積極的に発信していました。でもそうすると、みんな自分の仕事観がなくなり、ただの作業部隊みたいになって、モチベーションが下がってしまっているように感じることがあり反省しました。
今は、自分が言いたい・やりたいことよりも、メンバー自身がどういう仕事をしたいか、どういうサービスを提供したいか、どうこのチームにコミットしたいのかという点をコミュニケーションを通じて感じ取りながら、一体で事業に取り組むチーム作りに取り組んでいるところです。
高野 モチベーションを高めるために気を付けていることはありますか?
中村 最初はビジョンを掲げて、みんなに強く発信したら、共感してついてきてもらえると思ったんですけど、意外とみんな引いてしまって(笑)。それからは、それぞれのメンバーが何にモチベーションを感じるかとか、どういう仕事のやり方が快適かとか、割と細かく確認しながら、メンバーが主体的にそれぞれの仕事に取り組める環境づくりを重要視しています。
本田 自分の中ではビジネスモデルや収益を上げることに自信はあったんですが、実際に始めてみると、成果が出るまでグッと我慢するところが、ちょっときつかったですね。
普通に家具を引き取って売るというリサイクルショップのようなことは当然できるんですけど、それでは会社の事業に何の親和性もないので、空いているオフィスに家具を置いてテナント誘致する取り組みを実施しましたが、テナントさんが決まるまで数週間から数カ月かかるので、どうなるか心配でした。
ただ、想定より早くテナントさんが内定してからは良い評価が得られるようになり、後押ししてくれる人も増えてきた印象があります。ですので、数字はうそをつかないんだな、ということと、やはり0から1って大変だけど、そこを越えると、また視界が広がって、新しいことに自分のリソースを割けるんだなということをすごく感じました。
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