東急バスのEV自動運転バス 当面の目標は「路線バスの先」にある杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/8 ページ)

» 2022年09月18日 07時17分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 自動運転は国土交通省区分のレベル2だ。常にドライバーが運転を監視する。事前に実際の走行ルートで手動運転し、車両に搭載したレーザーレーダーで周囲の高精度三次元地図データを作成する。自動運転では0.1秒に1回の頻度で三次元地図データを参照し位置を把握。車両の速度と進行方向を制御する。走路周辺にデータにない物体がある場合は障害物と認識して停止する。GPSは使用しない。地上設備も不要。低コストで運用できるシステムだ。

三次元地図データをレーザーレーダーで参照して走る

 弱点があるとすれば悪天候に弱い。大雨の時はレーザーレーダーの機能が低下する。積雪時もレーザー光の乱反射で位置の測定が難しい。また、地図データを作成したとき以降、路肩の雑草が伸びてしまうと障害物と判断する。精度を高めるほどいったん停止しやすくなり、その都度、運転士がスタート指示を与える必要がある。

 雑草問題は市販車でも起きている。私のクルマも路肩の雑草に反応してアラーム、停止を経験した。先日、国道15号線を運転中、大森海岸付近で中央分離帯の灌木の枝がふくらみ、車線を維持できなかった。自動運転に当たり、自動車技術、信号技術だけではなく、自動運転に適した道路づくり、剪定(せんてい)のための庭師の増員も必要になりそうだ。そうした課題が実証実験であぶり出されていく。

後席からも自動運転を確認できるようモニターを設置。自動運転左折時のハンドルはカクカクと段階的に動いていた。乗り心地はスムーズ

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