「駅前から発着するバス路線も、あるバス停まで複数が同じルートで、そこから別れていく形態があります。それなら、分岐する場所までの路線バスを統合して、分岐点から小型バスの新路線を接続させるような路線網も考えられますね」(東急バス担当者)
乗り換えは面倒だ。しかし、乗り換えたバスが家の前まで来てくれるなら、そのほうが便利かもしれない。オンデマンド、自由乗降区間を設定してくれたら……。理想のバスのアイデアがどんどん出てくる。路線バスは鉄道駅のフィーダー(支線)、小型自動運転バスはフィーダーバスのフィーダー。
いや待てよ、地元民としては自動運転技術を待たずに、すぐにでも実現してほしい。あ、そうか、そこで人材不足に直面するわけだ。毛細血管バスは、自動運転が実現しないと成立しない。なぜ自動運転技術が必要で、開発を急いでいるか、その理由を理解できた。
もうひとつ、地元民として、ドライバーとして、時速19キロメートルの定速バスはちょっと困る。追い越し可能な道路とはいえ、追い越しも神経を使う。もう少しスピードを上げてもらいたい。
「実験結果を分析して、混合交通の障害になると重視されれば、もっと速度のあるバスにしよう、となるでしょう。一般試乗の結果、6人では足りないとなれば、もう少し大きなバスにしよう、となります」(東急バス担当者)
路線バスの先にもバスが必要、という考え方に新たな気付きを得た。なるほど、多摩田園都市を開発してきた東急はそこを見ていたか。そのサービスには自動運転の電気バスが最適。これも納得の理由だ。そしてまずは実験が必要で、今回はその第一歩である。
もしかしたら、私が免許を返納する歳までに実現するかもしれない。少しだけ不便だったこの街に、最期まで住めるかもしれない。今後の進化に期待する。
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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