企業が宣伝のために毎年選定していた、キャンペーンガール、イメージガールを取りやめる動きが加速している。
7月には、アサヒビールがイメージガールを今後は取りやめることを発表。キリン、サントリー、サッポロは既に廃止している。4大ビールメーカーからキャンペーンガールが消滅した。
アサヒ・広報によれば「コロナ禍で各地方のスーパー、事業所、テレビ局を回って、商品をPRするキャンペーンガール本来の活動ができなかった。総合的な観点から今後も採用の予定はない」としている。
また、繊維メーカーでも、旭化成が21年度(22年3月31日)をもって、キャンペーンモデルの起用を終了すると発表。46年間の歴史を閉じた。旭化成・広報によれば「弊社は繊維の会社というより、今は資材の会社に変わっている。キャンペーンガールの活動と企業の実態が合わなくなった」のが最大の理由とのことだ。カネボウ、帝人、東洋紡などの同業他社は既に廃止している。
コロナ禍で、各地のテレビ局やイベント会場などを訪問して、商品のPRを行うスタイルが受け入れられなくなった。また、キャンペーンガールを起用する企業は、ビールメーカーや水着の素材を提供する繊維メーカーが多かったが、ビールや水着といった商材の需要低迷も響いている。思想として、フェミニズムの影響が認められるという説もある。
キャンペーンガールというと、スタイル抜群の新人の女性タレントが起用され、青空の下で水着を着て、弾けるような笑顔がまぶしいといったイメージがある。ビールメーカーとしては、夏の需要期に弾みをつけ、年末の宴会シーズンを盛り上げるPR効果を期待していた。実際に効果も上がっていた。
その年のキャンペーンガールのポスターが、駅や居酒屋に張られる。そして、夏に向けてのCMが解禁された晩春から盛夏にかけて、タレントの知名度がぐんぐんとアップ。気温の上昇と共に、キャンペーンガールのメディア露出が激増。ビールの売り上げも上がって、そのままの勢いで秋を突破し、冬の忘年会でビールを爆発的に売る流れがあった。
アサヒのイメージガールは、後に女優、タレントとして大成した多くの成功者を輩出し、名門とされていただけに寂しさもひとしおだ。歴代イメージガールからは、山口智子、かとうれいこ、藤原紀香、伊藤美咲、井川遥(いずれも敬称略、以下同)らを輩出している。
キャンペーンガールの歴史を振り返りながら、なぜ不要と考えられるようになったのかを調べてみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング