ビールや水着の「キャンペーンガール」が次々と消滅 ポスターが盗まれるほど人気だったのに、なぜ?長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/7 ページ)

» 2022年09月23日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

スーパードライの躍進

 また、ビール会社がキャンペーンガールを選定するようになったのは、アサヒが87年に「スーパードライ」を発売してからだ。この商品のPRのために、全国各地を宣伝して回る役割をイメージガールは担っていた。

 各地の放送局の番組やイベントに出演したり、事業所の社員を励ましたりしたが、売り出し中のタレントなのでマネージャーが同行せず、電車や飛行機のチケットを自分で購入して駆け回るケースも多かったという。イメージガールの選考には、明るく元気でフレッシュというコンセプトが重視された。

スーパードライで躍進(出所:アサヒビール公式Webサイト)

 キレを重視した味もさることながら、PRも効いてスーパードライは業界トップブランドに登り詰めていく。87年当時のビールメーカー別市場占有率は、キリンが約57%を占めて断然トップ。2位はサッポロの約21%、アサヒは3位で約13%にすぎなかった。ところが、翌年にはキリンが約51%に大幅減、サッポロも約20%と伸び悩み、アサヒがいきなり約21%に伸長してサッポロを抜いて業界2位に躍進した。

 スーパードライのひとり勝ちに驚いた他の3社も、慌ててドライビールを開発。ドライ戦争が勃発した。また、キャンペーンガールを使う宣伝方法も、追従した。サッポロは87年、サントリーは88年、キリンは90年からキャンペーンガールを採用し始めた。

2013年サッポロビール キャンペーンガール、多嶋沙弥(出所:サッポロビール公式Webサイト)

 その後もスーパードライは売れ続け、98年には約40%に到達し、キリンの約38%を逆転した。サッポロは約17%にシェアを落とした。

芸能界への登竜門

 キャンペーンガールは、芸能界への登竜門の1つとされ、多くの女優、タレント、モデルが巣立って行った。既に引退した人、中には今は別分野で活躍している人もいる。

 前出のアサヒビール以外で、主なキャンペーンガール経験者は次の通り。

 秋川リサ(帝人)、風吹ジュン(ユニチカ)、アグネス・ラム(資生堂、旭化成、大磯ロングビーチ)、夏目雅子(カネボウ)、浅野ゆう子(カネボウ)、斉藤慶子(日本航空)、鈴木保奈美(カネボウ)、石田ゆり子(全日空)、杉本彩(東レ)、蓮舫(クラリオン)、鈴木京香(カネボウ、サントリー)、飯島直子(カネボウ、キリンビール)、松嶋菜々子(旭化成)、米倉涼子(ユニチカ)、釈由美子(サントリー)、宮地真緒(旭化成 )等々、枚挙にいとまがない。なお、山口智子と藤原紀香はアサヒビールだけでなく東レのキャンペーンガールも務めた。

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