3つのコースそれぞれの位置付けは、白帯コースが初級者向け、黒帯コースがある程度専門的なデジタル知識を身に付けるためのもの、そして師範コースになると自身でDXプロジェクトを起案・マネジメントできるレベルの高度なデジタル人材の育成を目的とする。
白帯コースはITリテラシーが高くない従業員の参加も前提としているため、まずは「デジタル技術に興味を持ってもらうこと」「デジタルを嫌いにならないこと」を重視したカリキュラムを組んでいる。AIやIoT、BIといった先進デジタル技術について、いきなり専門的な知識を詰め込むのではなく、まずは日常生活の身近な例を引きながら、誰にとっても分かりやすく自然と興味を持ってもらえるような内容を心掛けているという。
その一方で、単にデジタル技術に関する一般知識を得るだけに終始してしまわないよう、講義の後半では実際の業務でデジタル技術を活用するためのノウハウもみっちり学ぶ。講義内で紹介する事例や例題についても、社内で実際に行われている業務を例に取り、参加者が日々の業務により即した発想ができるよう工夫を凝らしている。
業務現場で実際にテクノロジーを活用するための「発想法」もカリキュラムに含まれており、決して「テクノロジーありき」ではなく、現実の業務課題を解決するためにテクノロジーを適用する上で必要な「生きたノウハウ」が学べるようになっているという。これらの講義内容を教える講師は外部の専門業者に委託しているものの、コースの内容自体はお仕着せのコンテンツをそのまま導入するのではなく、業者と協議しながらキリンホールディングス専用のコンテンツを新たに開発している。
さらには、コースの最後には参加者に対して修了レポートの提出を課している。
「自身が普段関わっている業務において、『デジタル技術を使ってどんなことを変えていきたいか』についてレポートを書いてもらいます。そのレポートを採点し、基準点をクリアした場合は晴れて免許皆伝となりますが、基準点に満たなかった場合や提出がなかった場合は卒業できない決まりになっています」(近藤氏)
なおこの修了レポートを作成するに当たっては、曖昧な目標ではなく、できるだけ具体的に定量化したゴールを明示するよう指導しているという。
「目標を設定する際、よく『○○を可視化します』『△△を効率化します』『××を高度化します』といった曖昧な表現が用いられますが、これでは実践的な取り組みにはなかなかつながりません。そうではなく、例えば『この取り組みによって、現在5人で行っている業務を3人でこなせるようにする』といった具合に、なるべく定量化した形で目標をはっきり示してもらうようにしています」(近藤氏)
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