自治体DX最前線

「DX人材を獲得したい!」 そう意気込む企業が、まず陥る失敗とは社内の“不満”はなぜ募る?(1/3 ページ)

» 2022年09月30日 12時30分 公開
[青木裕一ITmedia]

 DX人材の採用競争は、激化の一途をたどっています。厚生労働省が発表している一般職業の有効求人倍率は2022年6月で1.27倍、対してDX関連職については、各求人メディアやサービスの内容によって多少異なりますが、その約3〜6倍という状況です。

 難易度がますます上がっているDX人材の採用を実現するには、企業にはどのような取り組みが必要とされるのでしょうか? DX推進のカギとなる「現業との融合・共存」は、どう進めれば良いのでしょうか? 解説します。

「DX人材を採用しろ!」と大号令──その前に

 DXという言葉が国内で叫ばれるようになってから、まだ数年程度。DX人材を募集する企業でさえ、DXの捉え方や人材に求める最終的なアウトプットが定まっていないケースが散見されるのが現状です。

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 ここで重要なのは、DX=Digital Transformationの「Transformation(変容・変革)」の部分です。つまり、ただITやデジタルを活用すれば良い、というものではないということです。

 DXには厳密な定義があるわけではありませんが、経済産業省は「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」において、以下のように解釈しています。

 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

 さらに同省が発表した「DXレポート2」では、以下のような定義が記載されています。

  • デジタルトランスフォーメーション=「組織横断/全体の業務プロセス・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革」
  • デジタイゼーション=「アナログ・物理データのデジタルデータ化」

 つまり全社や事業全体のプロセスを見直して、事業そのものにデジタルの力で変容を及ぼすDXと、従来の社内ITや社内SEといった職種が担当する局所的なIT化(デジタイゼーション)を区別する必要があります。

 それにより、DX人材に求める要件や期待は大きく変わります。企業がどれだけ具体的にDXを定義しているか、どのように事業を変容していきたいか、どれだけ具体的な計画になっているかが、DX人材を採用する上での大きなポイントになります。

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