会計ソフトウェアベンダー各社の動きが出てきたPeppolだが、23年10月に向けてどんな動きになるだろうか。インボイス制度が始まると事務作業が煩雑になり、かつ24年1月に猶予が切れる電子帳簿保存法もあるため、各社は何らかのソフトウェアを使うことがほぼ必須となる。これは会計ソフトSaaS業界にとっては追い風でもあり、各社はインボイス制度対応を進めると共にPeppolへどう対応するかを睨む。
時期こそ明言しないものの各社はほぼPeppl対応を進める方針だ。ファーストアカウンティングの森社長は「インターネット普及期を振り返ってみると、インターネット化に乗り遅れたパソコン通信プロバイダはどこも生き残れなかった。オープンなネットワーク上でデジタルインボイスが流通するPeppolでも同じようなことが起こり、Peppolに対応しない会計ソフトは生き残れないのではないか。主要会計ソフトはインボイス制度が開始される来年10月までには対応するだろう」と状況を見る。
ファーストアカウンティングは16年創業の若い会社だが、AIを用いて会計処理を自動化、省力化するSaaSを提供している。マネーフォワードのように自社でC2/C3も運営するところを除くと、主要会計ベンダーのほとんどがファーストアカウンティングを採用した。公表しているところだけでもOBC、ピー・シー・エー、SuperStream、ミロク、SBIビジネス・ソリューションズなど。そのほか、採用の公開を控えているベンダーも多い。
森社長は「保守も考えると、自社でサービス・プロバイダーを運営する意味はあまりない。当社は相当に先行している」と胸を張る。
SBIビジネス・ソリューションズの夏川雅貴社長は「コスト面、開発期間を考えると、自前で持つ意味を見いだせなかった。ファーストアカウンティングは会計業界に特化して先端技術を提供している。主要会計ベンダーも接続しているので、調整が必要なときもスムーズだ」と評価する。
なおJP PINTは、策定が進んでいるPINT 2.0の先行版だ。PINT 2.0に日本固有のルールを付け加えたものがJP PINTであり、この2つはほぼ同じものだと思っていい。PINTの仕様策定を推進し、世界に先駆けて導入することで、国際標準化を後押しするのがデジタル庁の狙いだ。
【追記訂正:10/5 不正確な記載を修正し追記しました。お詫びし訂正いたします。】
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