まずは、DXと記載があるのに業務内容がDXと紐付いていない、または接続が弱いパターン。知見ある経験者ほど、応募を忌避されてしまう。
次に、事例1で紹介したいように、ターゲット要望があいまい、もしくは高すぎるケース。「なるべく多くの人に当てはまるよう、幅広く募集しておこう」と思ってしまうかもしれないが逆効果で、専門人材を採用する難易度がさらに上がりかねない。期待値が明確になっているほど、その業務をやりたいと希望する専門人材に出会えるという。
企業側としては「できれば年収600万〜800万円で採りたいが、素晴らしい人材がいれば1200万円となることももやぶさかではない」という意図で「年収600万〜1200万円」という記載に落ち着くことがある。しかし、候補者はこの幅の広さに「本当はいくらなの?」と困惑してしまう。
「ハイレベルな人材とジュニアレベル(駆け出し)の人材を同じ求人で募集してしまうのはなく、ハイレベル人材は1200万円、ジュニアレベルなら600万〜800万円など、分けた方が良いです」(石川氏)
採用側の負担が大きく、候補者側も見極めづらいため意向が低くなる。
それでは、反対にDX人材の採用に成功する企業の取り組みには、どんな特徴があるのか。
ポイント1、3に関しては失敗企業の特徴を反転させた形だ。
他には、ターゲット候補者に対する採用フローが最適化されていることが挙げられる。競合が多い場合、応募から書類通過までに1週間かかり、さらに日程調整に数日かかり……と従来のようなスケジュールで進行している間に、他社に先んじて内定を出されてしまいかねない。期間や面接プロセス、回数、面接官の選定などを最適化する必要がある。
また、現場との連携も必須条件だ。現場に市場感を伝え、要件を調整していくことが望ましいが、なかなか理解を得られないケースもある。
「その場合は、いったん現場が望む要件で採用活動をしてみて、一定期間後に『この結果では難しいから、ターゲットを変更しましょう』と促してみることがおすすめです」(石川氏)
市場を把握して要件を調整し、転職者にとって効果的な打ち出しを探ること、競合に負けない採用プロセスなどを構築することが、DX人材の採用に悩む企業への処方箋のようだ。
パーソルキャリア株式会社 サービス企画統括部 HR forecaster サービスオーナー
2004年に新卒で株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。さまざまなHRサービスにて営業、コンサルティング、組織運営を行う。 2015年に社内のインキュベーションプログラムを通過、以降、HR領域の幅広い知識をもとに、複数の新規サービスの企画・開発に従事。現在はHR forecasterの責任者を務める。
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