リテール大革命

「90秒ラーメン」は広まるのか 米国からやって来た自販機のミライ週末に「へえ」な話(3/5 ページ)

» 2022年10月09日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

残念ながら「わずか3台」

 このほかに、物価の上昇も影響を受けている。米国でベーグルとコーヒーのセットを注文すると、2000円を超えるところも珍しくなく、レストランに行けばチップを支払わなければいけないので、3000円、4000円は当たり前といった感じである。一方のヨーカイは12〜13ドルなので、2000円を切る。「給料日前なのでちょっとキツイ。今日のランチは自販機で」という人がじわじわ増えているようだ。

 また、人手不足も自販機の普及を後押ししているとのこと。会社や学校などのカフェで働く人が不足しているので、店を開けることができない、または営業時間を短くする、といった状況が生まれている。その代わりに自販機を設置するといったケースがでているようだ。

米国で提供しているラーメン(出典:ヨーカイ社のFacebookページ)
(出典:ヨーカイ社のFacebookページ)

 米国の自販機は88食分をストックできるが、日本ではスペースのことを考えて、機械のサイズをやや小さくし、最大50食に抑えている。「1日に1台当たり100食の販売を目指している」(同社)ので、詰め替え作業は2回行うことを想定している。

 さて、設置台数の話に戻そう。「22年は500台の設置を予定している」という話だったが、9月末時点で何台稼働しているのだろうか。残念ながら、わずか「3台」である。

 「ちょ、ちょ、ちょっと、差がありすぎるね。大丈夫なの?」と思われたかもしれないが、設置台数が伸びなかった理由は2つある。食べた人からは「意外とおいしい」という声が多く、「ウチの空きスペースにも置いてよ」といった引き合いはあるものの、世の中は「半導体不足」である。ヨーカイもこの影響を受けていて、想定通りの台数をつくれなかったのだ。

 先ほど米国と違って、日本ではコンパクトな自販機を設置しているといった話をしたが、このタイプを米国でも展開することに。半導体が足りない中でも、なんとかできた貴重な自販機を米国に送って、日本は後回しの状態に。ということもあって、遅れに遅れているのだ。

 もう1つの理由は、自販機の不具合である。高速道路のパーキングエリアや空港に設置したものの、冷凍状態のままででてきたり、お金は支払ったのにラーメンがでてこなかったり。こうしたトラブルを改善するために時間がかかってしまって、目標台数と設置台数に大きな乖離(かいり)が生まれたのだ。

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