さて、そこで気になるのはなぜこんなにラッピが、全国規模のハンバーガーチェーンに対して圧倒的な強さを誇っているのかということだ。
「そのチャイニーズチキンバーガーってのがめちゃくちゃおいしいからだろ」「マック以上に安くてボリュームがあるんじゃないの?」「コメダみたいに電源とWi-Fi完備で仕事しやすいとか?」などいろいろなポイントが思い浮かぶだろうが、根本的なところではここに尽きる。
「地元の常連と観光客の両方から支持を得ている」
ご存じのように、函館は北海道を代表する観光地だ。北海道観光入込客数調査(2021年度)によれば、観光客は年346万人、宿泊数は204万人泊でともに札幌市に次ぐ規模だ。
そんな「観光の街」なので、飲食店は地元の常連客だけではなく、観光客を取り込むチャンスがある。だが、マックやモス、ケンタはそもそもそれがない。
もし皆さんが休暇をとって函館に遊びに行ったとして、ランチやカフェでマックやモスを利用しようと考えるだろうか。しないだろう。「観光の間の休憩」という利用はあっても、メインの食事にしようという人はかなり少ないはずだ。せっかくわざわざ函館に来たのだから、「函館でしか食べれないもの」を選ぶのが普通だ。
つまり、函館のマックやモスは、200万人もの観光客が訪れている立地にもかかわらず、その恩恵をそれほど受けておらず、地元の利用客がメインになってしまっているのだ。
しかし、ラッピはそうではない。地元の常連客も多く利用しているところに加えて、函館観光に訪れた人たちもたくさんやって来ている。両方の客層からちゃんと支持されているのだ。
実際に9月、筆者はラッピの五稜郭店に行ってみたが、五稜郭観光を訪れた人たちで店内は大にぎわいで、店の外まで列ができていた。函館の観光スポットである「金森レンガ倉庫」にある店舗ものぞいてみたら、やはり観光客が多く押し寄せて、お土産コーナーでラッキーピエロのTシャツやマグカップという公式グッズから、「ラッキーガラナ」という炭酸飲料や、レトルトカレー、インスタントラーメンなどを買い求める人が多くいた。完全に函館を代表する観光スポットと化していたのだ。
その一方で、注意深く席を見てみると、近所から来た家族連れや、散歩途中に立ち寄ったようなシニア客もポツポツといて、日本のどこにでもあるファミレスのようなムードもあるのだ。
冷静に考えると、これはなかなかスゴいことだ。
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