「会議にふさわしくない」とバーチャル背景を禁止 リモハラ上司に懲戒解雇は妥当?法律事務所ZeLoに聞く!ハラスメントQ&A(1/3 ページ)

» 2022年10月12日 07時00分 公開

連載:法律事務所ZeLoに聞く!ハラスメントQ&A

「このようなケースは、ハラスメントといえるのだろうか」「企業側は、どう対応すべき?」──そんな疑問に、人事労務の分野に詳しい法律事務所ZeLo・外国法共同事業が答えます。

Q: 当社ではリモートワークを実施していますが、ある部長職の社員が部下にWeb会議のバーチャル背景の使用を禁じ、問題になっています。部長は「過去に社外の会議で仕事にふさわしくないバーチャル背景を使用した社員がおり、取引先からクレームがあったから」「回線が重い時には、背景を設定しない方がいいから」などの理由で禁じているようです。

 こうしたルールを強要された部下は人事部に対し、「プライベートな空間を見せることを強要するのは問題ではないのか。ハラスメントとして、適切な処分をしてほしい」と訴えています。

 バーチャル背景を禁じただけでもハラスメントになるのでしょうか? また、ハラスメントとして認められる場合、どんな処分にすべきでしょうか?

どこから「リモートハラスメント」?

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 新型コロナウイルス感染拡大でリモートワークの導入が進んだことに伴い、リモートワーク中に起こるハラスメント、いわゆる「リモートハラスメント」が問題になっています。今回は、このリモートハラスメントについて考えます。

 リモートハラスメントは、リモート環境、つまりオンラインでのやりとりの中で生じる点に特徴があります。リモートハラスメントが問題になる具体的なケースとしては、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • Web会議でカメラをオンにしてマスクを外すよう強要された
  • リモートワークだから良いだろう、として就業時間外のメール・チャットの返信を強要された
  • カメラに映った子どもなどの同居人を話題にされ、不快な思いをした
  • 一対一のオンライン飲み会を強要された

 リモート環境下でのハラスメントの経験について尋ねた調査として、東京大学医学系研究科精神保健学分野・デジタルメンタルヘルス講座が行った「新型コロナウイルス感染症に関わる全国労働者オンライン調査」の第4回調査があります。

 この調査では、在宅勤務経験者を対象に「業務時間外にメールや電話等への対応を要求された」「容姿や服装、部屋の空間について言及された(「すっぴんもかわいいね」「僕好みの部屋だな」など)」などの経験があるかどうかが尋ねられており、結果は以下の通りとなっています。

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出典:東京大学医学系研究科精神保健学分野・デジタルメンタルヘルス講座 『新型コロナウイルス感染症に関わる全国労働者オンライン調査』より

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