このようなMOUを締結したと同時に、カナダのイノベーション・科学経済開発省は「通信の信頼性向上のアジェンダ」を9月に新たに発表。強靱な通信の実現に向け「堅牢なネットワークとシステム」「アカウンタビリティの強化」「協調的な計画と準備」という3本柱の課題項目を掲げた。
障害の起こりにくいネットワークを構築するのは大前提だが、障害が起こった場合は、事故の対応、復旧状況に関して、事業者から国民、政府当局に対してタイムリーで明確なコミュニケーションを行うこととしている。さらに、早期復旧のため、通信事業者はリスク管理を適切に行い、BCP(事業継続計画)をしっかり確保していく必要があるとしている。
非常時のローミングを実現している4カ国の対応を比較すると、以下の表のようになる。4カ国とも、非常時のローミング制度を導入したのはこの1年のことなので、新しい取り組みといえる。日本も同様にローミング制度の導入を目指している状況だ。
米国と韓国については、非常時における事業者間ローミングは「法令に基づく義務」となる。一方、ウクライナとカナダは民間企業同士の協力、または覚書の締結でローミング制度を作っている。
非常時の定義は各国で多少異なるが、自然災害、通信事故、火災などは共通だ。ローミング対象となる通信は各国共通で、緊急通報だけでなく、一般の通話、データ通信、SMSなどテキストメッセージを含めて対象にしている。
ローミングを開始する条件はそれぞれ異なっている。米国はFEMA(連邦緊急事態管理庁)やFCCが緊急事態を宣言することによって開始する。カナダは障害を起こした事業者が他事業者に電話することで宣言となる(ローミング終了は電子メールを送信して知らせるだけでいい)。韓国は当局の命令でローミングが開始される。
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