空飛ぶホームズくんの開発などを通して得た知見を生かし、地方創生につながる取り組みも実施する。福島県磐梯町(ばんだいまち)と協業して進めているのが、町の文化遺産などを町民自身が3Dスキャンして残していくプロジェクトだ。
スキャンには、スマホの3Dスキャナアプリを使用。ワークショップを通してアプリの操作方法などをレクチャーし、住民は自身が「残したい」と感じる文化遺産や観光資源、あるいは個人的に大切なものをスキャンして残していく。
磐梯町では、実際に住んでいる、もしくは訪れたことがあるといったことに関わらず、町に親しみを持つ「愛着人口」を増やす取り組みを進めている。今回のプロジェクトも、将来的に誰もがスキャンされたデータにアクセスできるようにすることで、愛着人口の増加につなげていきたい意図があるそうだ。
9月には、中学生を対象にワークショップを開催。ゲームなどを通してVRになじみがある世代だけに受け入れも早く、スキャン技術の獲得もスムーズだったという。
「VRネイティブな世代にとって、メタバース空間内で活動することは自然なこと。いずれはバーチャルな磐梯町のような場所を作ってそこにスキャンしたデータを置き、町民や訪れた人たちがコミュニケーションをとったり、その中で名産品を売ったりといった場を作っていけたらいいですね」(山崎氏)
地方への関心を高めることは、不動産事業者にとって重要な課題だ。最初は「愛着人口」という形であっても、それがいずれは「移住したい」という思いにつながるかもしれない。地域のファンを増やす長期的な視点での取り組みとして、最新の3Dスキャン技術を活用することも、テクノロジーに対する感度の高い同社ならではの取り組みといえそうだ。
21年11月には、「Ingress」や「ポケモン GO」などのARゲームを手がけるNianticと、ARDKに関するパートナーシップ契約を締結。VR空間だけでなく、実際の街の中でもアプリを活用した物件探しの体験できる世界の実現を目指しているという。
「VR技術を誰もが当たり前に使い、メタバース空間の中でコミュニケーションをとったり経済活動をしたりする時代が訪れることは、想像に難くない段階まで来ている」と山崎氏は予測する。そのときに、住まい探しの分野で快適な体験を提供していくのがR&Dのミッションだ。
「リアルとバーチャルの両方で生活するようになったときに、どちらでも同じように快適に活動できることはとても重要です。住む場所を探すこともそのひとつだと考えているので、それを実現できるサービスを目指していきます」(山崎氏)
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