近年注目される仮想空間「メタバース」や、実在の街のデータを仮想空間内に取り込んで再現する「デジタルツイン」。各業界で、どう事業に取り入れていくかの試行錯誤が行われている。
LIFULLは、実際の街を再現したメタバース空間内で物件探しができるAndroidアプリ「空飛ぶホームズくん」のベータ版を2022年7月にリリース。メタバースやデジタルツインを取り入れたビジネスを展開する理由や、それを通して実現したい世界について、クリエイティブ本部 未来デザイン推進室 リサーチ&デザイングループの山崎晴貴氏※、上野哲史氏に聞いた。
※「崎」は正しくは“立つ崎”
空飛ぶホームズくんでは、地図や検索ボックスで地域を指定すると、実際の街を再現した3Dの街が表示される。ユーザーはアバターの姿で空を飛んで街を移動。対象となる物件の上には間取りと家賃の書かれたタグが表示され、タップすると物件内部に移動できる。
物件内部も3Dで表示されるが、これには、見取り図から自動で3Dデータを自動生成できる同社の特許技術「3D間取り」が使われている。3D間取り自体は同社がWebサイト上で提供する物件情報にも掲載されているもので、ほぼ人手をかけずに多数の物件を3D化できる点がメリットとのこと。サイトに掲載されている賃貸物件のうち、3D間取りのデータを持つものが自動でアプリにも反映される仕組みになっており、掲載物件の約7割が「空飛ぶホームズくん」からも閲覧できるという。
さらに、URL経由で他のユーザーを招待し、ボイスチャットで会話をしながら一緒に物件を探せる機能も備える。同居人と相談しながら物件探しをするといったことも可能だ。上野氏は、「現実世界でも、Webサイトでもできなかったことを同サービスでは実現したかった」と話す。
ただし、物件の入れ替わりが早いことなどもあり、現在はアプリ内から直接問い合わせをしたり、気になる物件情報を保存したりといった機能はなく、空飛ぶホームズくんは現状、物件探しと内見の体験だけにとどまっている。将来的にはこのあたりの機能を拡充し、問い合わせなども行えるようにしていきたいという。
トレンドとはいえ、同社はなぜ本格的にメタバ―スをサービスに取り入れようと思ったのか?
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