阪急はなぜ「準特急」を導入するのか、ややこしい「列車種別」「準特急」復活(4/5 ページ)

» 2022年10月26日 07時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

戦略というより苦肉の策、西武池袋線の列車種別

 関東でも列車種別が細かい私鉄はある。西武池袋線である。

 西武池袋線には、「通勤急行」「通勤準急」という、通勤時間帯に特化した列車種別がある。このほかにも「急行」「快速」「準急」がある。

 所沢から石神井公園までの区間を見ると、「急行」は所沢・ひばりヶ丘・石神井公園に停車、「通勤急行」は所沢・東久留米・保谷・大泉学園・石神井公園に停車、「快速」はひばりヶ丘までの各駅と石神井公園に停車、「通勤準急」は大泉学園までの各駅に停車する一方、石神井公園は通過する。

 これは「千鳥停車」と呼ばれ、列車種別ごとに停車駅を分散して乗車する人を平準化することを目的としている。

西武池袋線の通勤車両「40000系」(出典:プレスリリース)

 多くの関東圏私鉄では、朝ラッシュ時に少しでも早く都心に着こうと、乗客が上位の列車種別に集中してしまう。それを避けるべく、似たようなランクの列車種別を複数つくり、乗車駅を分けることで混雑を分散している。

 乗客の利用をどうすれば平準化できるのか、良くできた戦略だといえるものの、利用者が多すぎるので苦肉の策としてこのような種別の設定をするしかなかったといえるのかもしれない。

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