古代ケルトではサフィン祭で先祖の霊とともに、悪霊や魔女、成仏していない霊も死後の世界から来るとされていた。この点は日本の「お盆」と異なる点だ。
悪霊たちは家畜や作物に悪い影響を与えたり、子供を誘拐したりすると考えられており、ケルト人たちは悪霊たちと同じ格好に仮装することで仲間だと思わせ、身を守った。驚かすことで追い払うために、仮面をかぶったり、焚き火をしたりしたともされている。
そうした背景から、魔女や悪霊の仮装やメイクは、現在でもハロウィンの定番となっている。日本では近年、魔女などに加え、アニメやゲームの登場キャラクター、有名な芸能人の仮装も増えたことで、本来の仮装の意味合いが薄れ、コスプレを楽しむような日に変化している。
中国バイドゥがZ世代を対象に実施した調査では、「ハロウィンにやってみたい仮装」1位が「アーニャ・フォージャー」(『SPY×FAMILY』)だった。2位には「五条悟」(『呪術廻戦』)、3位には「制服」がそれぞれ選ばれている。
(関連記事:Z世代が選ぶ「ハロウィンにやってみたい仮装」 3位「制服」、2位「五条悟」(『呪術廻戦』)、1位は?)
では、いまのような形でハロウィンが親しまれるようになったのはいつからだろうか。ハロウィンを娯楽色が強いイベントに発展させたのは、米国とされている。英国など欧州からの移民とともにハロウィンの文化も伝わったのだ。米国への移民の中には、ハロウィン発祥の国であるアイルランド系移民も当然いた。
第35代大統領に就任するも、悲劇の死を遂げたジョン・F・ケネディ氏は米国初のアイルランド系大統領。トランプ政権下で副大統領を務めたマイク・ペンス氏もアイルランド系米国人として知られるなど、米国内ではアイルランド系の血を持つ人も多い。
そんな米国では1ヵ月前からハロウィンの準備が始まる。自宅をホラー風に飾り付け、親たちは家族分の衣装と近所の子ども達に配布するお菓子の準備に追われる。小学校や幼稚園・保育園では仮装パレードが開催される他、仮装パレードをする機会は減少しているものの、中学〜高校で仮装で登校する生徒も少数派ではないという。
大人達も負けていない。大学生や若者たちはホームパーティーをしたりクラブに繰り出したり、仮装してお酒とともに大騒ぎする。社会人も仮装して出勤するケースもあるという。
1950年代に米国内でホラー映画が流行ると、ドラキュラやフランケンシュタインといったモンスターたちが仮装に定番に。この辺りから、宗教色はほとんど薄れ、各地で年代を問わず、楽しむ娯楽イベントとして定着した。
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