ハロウィンと聞いて、真っ先にカボチャのランタンを連想する読者もいるのではないか。ランタンの名前は「ジャック・オ・ランタン」(Jack-O'-Lanterns)。直訳すると「ランタンのジャック」という意味で、アイルランドのジャックという名前の男が由来とされている。
なぜ、ランタンが使われているのか。それにはアイルランドの古い民話が関係している。ランタンの名前にも使われているジャックは意地悪な性格の持ち主として知られ、悪魔をだまして生き長らえたため、寿命が尽きたにもかかわらず天国へも地獄へも行けなくなり、カブで作ったランタンを持って永遠にさまよい続けているとする内容だ。
民話からも分かるようにランタンは当初、カブだったのだ。だが、米国に伝わった際に、カボチャの方が入手しやすかったことから、カボチャのランタンが一般的になった。
「Trick or Treat」(トリック・オア・トリート)。この言葉も米国から広まったとされている。子どもたちが食べ物を集めて回る風習として1920年代に初めて登場し、50年代以降、映画のタイトルや募金活動の名称などに採用されたことからハロウィン特有の風習として定着したとされている。
戦後、米国文化の影響を受けてきた日本では「トリック・オア・トリート」の文化は根付かなかったものの、仮装パレードは全国各地で開催され、コスプレも本場の米国を凌ぐクオリティーを見せている。ハロウィン当日のJR渋谷駅前のスクランブル交差点でのにぎわいは、外国人観光客の観光スポットにもなっている。
近年は仮装商品だけでなく、コンビニ各社がハロウィン限定の料理メニューやスイーツの開発を開発したり、テーマパークが限定イベントを開催し、大きな売り上げを生み出したりするなど、ハロウィンは経済的な観点からも企業にとって重要なイベントに成長している。
日本記念日協会の試算では、コロナ禍前の19年10月時点で1155億円の市場規模があったという。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が運営するディスカウントストア「ドン・キホーテ」では、ハロウィン関連グッズの売り上げは前年10月比(10月30日時点)で1.3倍に達している。行動制限がない中で迎える2022年のハロウィンは、各社にどのような効果をもたらすか注目を集めそうだ。
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